リースバックとは、売却した自宅に賃貸料を支払いながら住み続けられるサービスのことです。住宅ローンの返済が難しくなってきたとき、まとまったお金が必要になったときなどに利用されます。
リースバックを利用するには、いくつかの条件をクリアする必要があります。リースバックの利用条件と、リースバックを利用できないケースについて解説します。
まずはリースバックについて理解しましょう!
リースバックを利用する条件
リースバックを利用するには、次の条件を満たしている必要があります。
- 名義人全員の承諾を得ている
- 住宅ローンの残債を返済できる
- 賃貸料の支払い能力がある
それぞれの条件について、詳しく解説していきます。
リースバック条件1 名義人全員の承諾を得ている
物件の名義人全員の承諾を得る必要があります。夫婦や兄弟間などで物件を共同所有している場合は、事前に名義人全員と合意を取り付けておきましょう。
現時点で名義人ではない子どもなどでも、いずれ住宅を引き継ぐことが想定されている場合(かつそのことが理解できる年齢である場合)は、後々のトラブルを回避するために、しっかりと話し合っておいたほうがよいでしょう。
リースバック条件2 住宅ローンの残債を返済できる
住宅ローンは、住宅を担保にして資金を借り入れています。そのため、完済して担保を解消できなければ、自分の意向だけで自宅を売却することはできません。リースバックも同様に、住宅ローンを完済しなければ利用できません。
もし住宅ローン残債が売却金額を上回っている場合は、自己資金で補填するなどして住宅ローンを完済する必要があります。
ただし、任意売却という方法であれば、住宅ローンの完済は条件になりません。任意売却とは、住宅ローンの返済が滞ったときに金融機関から承諾を得て、通常通りの不動産売却を進められるという救済措置のことです。
任意売却は住宅ローンの返済に困っている人が対象ですので、基本的にリースバックを利用する場合は、住宅ローンの完済が必要です。
リースバック条件3 賃貸料の支払い能力がある
リースバックでは不動産を売却すると同時に、賃貸借契約を結びます。そのため、借主に賃貸料の支払い能力があるかどうかも重要なポイントです。もし賃貸料の支払いが滞ってしまうと、それだけリースバック会社は損害を受けてしまうのです。
ただし一般的な賃貸物件と比べると、リースバックの審査はそれほど厳しくはありません。高齢者や金融機関で融資を断られた人でも、賃貸借契約を結べることがあります。
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リースバックを利用できないケース
リースバックを利用できないケースについて解説します。
そもそも条件を満たしていなければリースバックを利用できませんが、もっと重要なのは物件に「流動性」があることです。不動産の流動性とは、不動産の売りやすさのことを指します。リースバック会社は買い取りした不動産を売却して利益を上げるため、流動性の低い=すぐに売却できない不動産を避ける傾向があります。
流動性の低い、すぐに売却できない不動産には、次のものがあります。
- 建物に不具合・欠陥がある
- 借地権等の関係で建て替えや売買に制限がある
- 現在の法令上不適格の建物である
- 市街化調整区域の物件である
建物に不具合・欠陥がある
建物に何らかの不具合・欠陥があり、売却時に支障があると判断されると買い取ってもらえません。目立つ破損や設備の問題、心理的な瑕疵などがそれにあたります。
雨漏りがする、水道管が破損しているといった不具合・欠陥のほか、過去に事件・事故があったことも、リースバック会社が買取を避ける理由になります。
借地権等の関係で建て替えや売買に制限がある
借地にある建物も、契約内容によってはさまざまな制限があるため、リースバックを利用できないことがあります。たとえば、建て替えや売買が借地契約で制限されていると取引が難しくなるため、買い取ってもらえません。
現在の法令上不適格の建物である
法律が整備された結果、かつては適法だったにもかかわらず、いまの法律では違反になってしまう建物もリースバックを利用できません。建築基準法に違反している、建て替えができない土地(再建築不可)など、法令上不適格な建物は基本的に買取の対象外となります。
市街化調整区域の物件である
市街化調整区域とは、市街化を抑制している区域のことで、新しく建物を建てることができません。そういった不動産は次の買い手が見つかりにくいため、リースバックを利用するのは難しいでしょう。
なお、リースバックの売却価格は市場で普通に住宅を売却するより価格が下がるのが一般的です。オーナー(リースバック会社)側の視点に立つと、リースバックは購入後の物件の運用方法に制約が出るためです。最後はオーナーの意向次第ですが、市場価格の70%前後が目安です。
【参考】短期契約で有利になる場合も
リースバックでの賃貸契約には、主に2つの種類があります。貸主(リースバック会社)からの解約に正当な理由が必要な「普通借家契約」と、あらかじめ契約期間が決まっている「定期借家契約」です。
リースバック会社によっては、短期間での定期借家契約とする代わりに、売却価格や賃料を優遇するところもあります。数年のうちに次の住処を見つける目処が立ちそうな人は、こうした利用条件によって優遇されるリースバックを検討してもよいでしょう。
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リースバック以外の資金繰り改善の方法を比較
住宅ローンを完済したり、まとまったお金を手にするには、リースバック以外にどのようなほうほうがあるでしょうか。また、リースバックと比べて、どのような違いがあるのでしょうか。
住宅ローンの借り換え
住宅ローンを見直すなら、借り換えが候補に上がります。近年は、住宅ローン金利がかなり低い水準にあるので、借り換えによって総返済額を減らしたり、返済スケジュールの調整をしたりできるかもしれません。
利用条件という点でみれば、借り換え時には手数料などの諸費用がかかることがあります。金融機関や残債の状況にもよりますが、数十万円に上ることもあるので、諸費用を支払ってでも借り換えるメリットがあるか確認しておく必要があります。
ちなみに、リースバックでかかる諸費用は、契約書の印紙税が約1万円、抵当権抹消の登録免許税が土地建物で2,000円です。リースバック事業者によっては事務手数料が設定されていることもありますが、金額は家賃の1カ月分などが一般的なので、そこまで高額にはならないでしょう。
リバースモーゲージ
リバースモーゲージは居住者が生きているうちの支払いを軽減し、死亡時に住宅を売却してローンを完済するスキームです。生存中は、支払いが全くないか利息部分のみの支払いとなるので、普通の住宅ローンよりも負担が小さくなることが多いでしょう。
リバースモーゲージも、リースバックと同じく既存の住宅ローンを完済できなければ利用することができません。しかし、存命中に任意売却との併用ができない点では、多少の違いがあります。また、利用条件のひとつに「年齢」が設定されていることが多く、55歳以上や60歳以上など、一定の年齢に達していなければ利用することができません。
リースバックの利用条件に「年齢」はないので、もし55歳以下で活用するなら、リースバックが有効な選択肢になるといえます。
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