厚生労働省年金局の発表(令和3年度の国民年金の加入・保険料納付状況)によると、公的年金の年金保険料が24ヵ月以上未納になっている人(未納者)は約106万人いるとされています。
参考:令和3年度の国民年金の加入・保険料納付状況について(厚生労働省)
未納者は、将来どのような問題を抱えるのでしょう。また、今から払うことには、どのような意味があるのでしょうか。
「国民年金を一度も払ってない」…その問題点とは?
日本に暮らしている人は、原則20歳以上になると国民年金に加入し、年金保険料を支払わなくてはなりません。
しかし、なかには「一度も払ってない」という人もいます。もし本当に未納であるなら、さまざまな問題があると言わざるをえません。
「払った覚えがない」人は自分が「未納者」なのか確認を
まずは、本当に未納なのか、年金制度の仕組みを振り返りながら、確認しましょう。
厚生年金に加入していれば国民年金保険料は合わせて支払われている
まず、社会保険のある会社に勤務している、または公務員として働いていて、厚生年金に加入しているという人は問題ありません。厚生年金の加入者は、給与からの天引きで厚生年金保険料を支払っているはずだからです。
この立場の人を「2号被保険者」といい、2号被保険者の国民年金の保険料は厚生年金制度によって負担されます。
したがって、20歳未満のときに会社員になり、そのまま勤務し続けているという人は「一度も国民年金(の保険料)を払っていない」という実感の人もいるかもしれませんが、厚生年金に加入しているので問題ないのです。
厚生年金加入者に扶養されている人は保険料を負担しなくていい
次に、厚生年金の加入者(会社員・公務員)の配偶者で、扶養されているという人(専業主婦など)も問題ありません。「3号被保険者」という立場で、扶養者である2号被保険者の厚生年金制度によって負担されるからです。
3号被保険者は、年金保険料を自分では負担しなくてよいと決められています。そのため、ずっと専業主婦だという人は、年金保険料を払っていなくても問題ありません。
ただし、配偶者が自営業やフリーランスであれば、この限りではありませんので注意してください。
減免の手続きをしている人は「未納」ではない
収入が少なくて年金保険料を支払うのが困難なときは、申請をすることで、それが認められれば保険料を減免してもらうことができます。
保険料が減免されると、将来、受け取れる年金額に影響し、通常よりも少ない額しか受け取れない場合がありますが、全額免除されていたとしても、その期間は加入期間としてカウントされるため、受給資格には影響しません。
つまり、きちんと手続きをしたうえで支払っていない場合、それは「未納」ではないのです。
そうした手続きを行うことなく、ただ、届いた納付書を無視しているという状況が「未納」といえます。
未納のまま放置すると何が困るのか
「国民年金(保険料)を払ってない人」には、どのような問題が生じるのでしょうか。
まず、公的年金の中心的な役割として、原則65歳以上に給付される「老齢給付」があります。
高齢になり、働くことができなくなっても、年金制度からお金が支給されるという仕組みです。一般的に言うところの「年金」です。
しかし、国民年金の老齢給付を受けるには、「保険料を納付した期間が10年以上ある」など一定の条件を満たす必要があります。
先にお伝えしたように、減免の手続きをして、免除が認められた期間は、実際には支払っていなくても、納付済み期間には数えられます。しかし、そうした手続きなく、納付期間が10年未満であると、国民年金の受給資格を得られず、将来、年金は受け取れません。
また、公的年金には、老齢給付以外にも役割があります。
事故や病気で後遺障害が残り、仕事や生活が難しくなってしまった場合に、障害の程度に応じて受け取れる障害年金などです。
障害年金を受給するにも、一定以上に保険料が納付されていることが要件なので、ずっと未納が続いている人は、もしものときの障害給付も受けられない可能性があります。
公的年金は、社会状況・経済状況に左右され、制度の改定もありうるため、「納めてもどうせもらえない」といった考えを持つ人もいるようです。
しかし、障害給付などの社会保障の意味合いがあることを思えば、未納のリスクは大きいでしょう。
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国民年金を「今から払う」のは可能か
国民年金保険料を未納のまま放置していたが、やはり払ったほうがいいのではないか?と思ったとき、今から払うことはできるのでしょうか。
一定年数までなら後納・追納ができる
結論からいうと、なにも手続きをしていない未納ぶんについては、「2年前」までさかのぼって払うことができます。この仕組みを「後納」といいます。
逆にいうと、2年を超える前のぶんについては、もう払うことができません。
一方、手続きをして減免されていたものについては、「10年前」のぶんまで払うことができます。後納と区別して、このことを「追納」と呼んでいます。
この意味でも、年金保険料を払えないというときは、ただ放置するのではなく、減免の申請をするべきなのです。手続きさえしておけば、10年間は猶予があるので、その間に余裕ができれば払うことができるからです。
手続きをしておかないと、この猶予が2年間しかありません。
なお、お伝えしたように、老齢給付の受給資格を得るためには、10年以上、保険料を納付していなくてはなりません。
通常、国民年金には60歳になるまで加入しますが、現在、50歳を超えていて、今までずっと未納だった場合、今から払ったとしても納付期間が10年に達しない場合があります。
そういう場合、60歳を超えてからも国民年金の加入者として保険料を納付し続ける「任意加入」という仕組みがあります。
任意加入については、以下の記事で詳しく解説しています。
年金は10年払えば受け取れる。受給資格を満たす方法
年金保険料を後納・追納で払う意味はあるのか?と思う人もいるかもしれません。しかし、メリットは十分にあります。
ひとつは、先述のような10年間の受給資格を満たすことができるかもしれないことです。
もうひとつは、納付期間については要件を満たしていても、減免された期間が長く、年金受給額が少ないことが予測される場合も、後納や追納、あるいは任意加入で満額を支払った納付期間を増やすことで、年金額を増やせるというメリットです。
そもそも、国民年金の支給額は定額です。満額でもらえたとしても、年額約78万円。月あたり6万5,000円程度ですから十分な額とはいえないかもしれません。
しかし、だからこそ、その額を少しでも減らすことなく満額に近い額を受け取りたいものです。まして、少額であっても受け取れるか受け取れないかでは非常に大きな違いがあるといえます。
国民年金の受給資格については、元々は25年以上必要とされていたものが、平成29年より10年に短縮されたという経緯があります。
これにより、「年金を受け取れるチャンス」を得た人は多かったことでしょう。このチャンスを活かさない手はありません。ずっと未納だったという人は、ぜひ、年金を受給できるよう、追納などを考えてみてください。
【参考】「国民年金を払わない方法」はあるのか?
そうはいっても「ない袖は振れない」ということで、どうしても年金保険料を払うのが難しい人もいます。
なんとか「払わない方法」はないのでしょうか。
これについては、やはり、年金保険料の支払いそのものは義務であり、払わないでもよい、ということにはなりません。
しかし、先述のように、手続きをすることで減免の申請ができます。払えない場合、納付書を無視して未納にするのではなくて、申請をしたうえで、免除という形を取ったほうがよいことはお伝えしたとおりです。
申請が認められるかどうかは、さまざまな状況が加味されます。単に収入が低いという他に、以下のようなことも考慮されますので、まずは相談してみましょう。
- 失業した
- 災害によって損害を受けた
- 配偶者からの暴力を受けている
また、一定以上に収入が少なく、生活に困窮する場合は、「生活保護」という仕組みがあります。
生活保護を申請して認められ、その受給を受ける場合、国民年金保険料には全額が免除になります(法定免除)。
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年金額が少ない老後には、リースバックなどの資金調達を
ここまで、国民年金を払わないでいることに一定のリスクがあることを紹介しました。最後に、年金に問題を抱えている人にもおすすめの資金調達について紹介します。
国民年金の未納が多い場合、老後生活は厳しい
未納期間が長すぎて受給資格がない場合、あったとしても、受け取れる年金額が少ない場合、老後の生活は困難が予想されます。
できるだけ、年金を確保するのが望ましいことは間違いありませんが、それとは別に、なんらかの資金調達ができないか考えておいたほうがよさそうです。
方法として、次のようなものが考えられます。
- 私的年金を準備しておく
- 働いて収入を得る
- 今ある資産を売却してお金に変える
私的年金とは、個人年金保険などの金融商品や、確定拠出年金(iDeCo)などの制度を利用して、公的年金とは別の年金を受け取る方法です。しかし、公的年金の保険料も払えないのに、私的年金の準備をするというのは現実的ではありません。
働いて収入を得るというのはシンプルでまっとうな方法といえます。可能ならそうしたいところですが、健康状態などに左右されるおそれがあります。
資産を売却する、というのは、要は、お金そのものがなくても、売れるものを持っていればそれがお金に変えられるだろうということです。
代表的なものとして不動産があります。
今住んでいる自宅が持ち家であれば、家を売るのが、まとまった資金を手に入れる方法としては有効です。
家を売っても住み続けられる「リースバック」とは
自宅不動産が売れるとして、売ってしまえば、家は手放さなくてはならないため、お金が手に入ったとしても住むところを失ってしまいます。
そのため、家を売るのは簡単なことではないのですが、ひとつの解決手段として、リースバックという方法もあります。
リースバックとは、家を売却したあと、買い手との間に賃貸契約を結び、その家に住み続けるという仕組みです。
持ち家に住んでいる状態から、賃貸に住んでいる状態になりますが、それ以外は、同じ家に住んでいるという点で環境は変わりません。外部からはリースバックしていることはわからないため、ご近所に家を売ったと知られることもありません。
もちろん家賃は発生しますが、家の所有権は買い手に移っているため固定資産税などの維持費がかかりません。売却代金が手に入るので、その後のマネープランを考え直し、暮らしを立て直す契機をつくることができるでしょう。
年金額が少なく、老後生活の困難が予想される場合は、リースバックなどのさまざまな方法を駆使して、お金の計画を立てておくことが大切です。
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