リースバックを「罠」と捉え、警鐘を鳴らす専門家も少なくありません。実際に、過去にはリースバック契約に関するトラブルや訴訟が発生しています。
果たしてリースバックは、賢明な選択なのか、それとも避けるべき危険な罠なのか。長所と短所、実例を交えながら多角的に検証していきます。
リースバックが罠かどうかは、会社によっても異なります。まずは一括問い合わせで話を聞いてみましょう。
リースバックは罠という人の意見
リースバックは罠だ、と感じた方の意見を見てみましょう。罠と感じた方の意見を見ると、リースバック後も住み続ける場合の注意点が見えてきます。
持ち家ではなくなるため、自由にリフォームなどできない
リースバックする場合、これまで持ち家だった自宅の所有権が買取業者にうつります。そのため、大規模なリフォームや建て替えなどを自由にできなくなります。
とはいえ、長く住み続けるうえで必要な改修や、小規模なリフォームなら、買取業者から承認が得られれば可能になるケースもあります。
ただし、不動産としての価値が下がる要素のあるリフォーム・改修などは、承認が得られにくいことも多いので注意しましょう。
買取価格が相場より低く提示され家賃が高く感じた
リースバックで設定される買取価格は、市場相場の6~8割程度が一般的です。
さらに、リースバックで提示される家賃(借りて住む場合に支払う賃料)は、市場相場よりも高めに設定されることが多いのも押さえておくべきポイントです。
買取価格が相場を大きく下回っていたことを、契約後に知ってしまったケースもあります。この場合、「安すぎるからキャンセルしたい」と申し出ても、違約金を請求されるなどしてスムーズに解約できないケースがあります。
買取価格が妥当かどうかは、契約前にいくつかの不動産会社に見積もりを取って比較しましょう。また、賃料の相場も見積もりを取り、契約しようとしているリースバックが妥当な内容か確認することが大切です。
賃料相場の主な確認方法は、次のとおりです。
- 近隣の不動産会社に掲示されている賃貸物件の賃料をチェックする
- 賃貸に出した場合の相場はどのくらいか、不動産会社に見積もりを取ってもらう
リースバック提供会社への一括問い合わせで、相場を比較しましょう!
家賃を払えなくなると住む場所を失うことになる
リースバックをした場合でも、通常の賃貸と同じく家賃を滞納すれば退去せざるを得ません。
住み続けるつもりでリースバックする場合は特に、契約前に支払い続けることが可能な家賃か検討してください。
「数年支払う家賃が、買取価格を大幅に超える」というケースもあるため、冷静にシミュレーションしておきましょう。
リースバックは救世主という人の意見
リースバックは罠、という意見もあれば「利用してよかった」という意見をお持ちになる方もいます。
どのような理由で「リースバックは救世主」とおっしゃるのか、見てみましょう。
相続人は固定資産税・維持管理費の負担から解放される
持ち家の場合、毎年支払う固定資産税や、必要に応じた維持管理費を捻出しなくてはなりません。リースバックを活用すると、こうした負担はなくなり、家賃の支払いに切り替わります。
リフォームなどが気軽にできなくなる反面、維持管理に必要な費用も負担してもらえるのです。
ただし、利用中に既存設備や内装などに破損・故障が生じた場合の修理費は、借主が負担する必要がある場合もあります。借主か貸主、どちらがどのくらい費用を負担するかについては、事前にしっかり条件をすり合わせておきましょう。
持ち家が負債にならない
現在空き家が増加傾向にあるなか空き家数を減らすべく、国土交通省は低所得者向け賃貸として空き家を運営・管理できる業者への支援に乗り出している状況です。
以下のようなケースでも、リースバックを活用することで費用を捻出できます。また、住む場所を失わずに売却で支払う税金を抑えることにつながります。
- 一人で生活していくのは難しい
- 自宅が古く、買取できるのは土地だけ、といわれたが、解体費用が捻出できない
- 売却するにも各種税金が支払えない
なお、家を売却する際に支払う主な税金は以下のとおりです。
- 印紙税
- 消費税
- 譲渡所得税【売却価格-(購入価格+諸費用)×税率(20.315%~39.63%)】
- 登録免許税
- 譲渡所得にかかる住民税・復興特別所得税
売却益が500万円を超えると200万円以上の税金を支払うこととなり、これは基本的にリースバックでも変わりません。さらに、売却にあたり更地に戻す必要がないため、自宅の解体費用などの費用を捻出せずに済みます。
また、リースバックでマイホームを売却する場合、以下の節税対策が可能になります。
- 3000万円の特別控除(確定申告必須)
- 所得税・住民税に軽減税率が適用される
相続税の負担が軽くなる
リースバックすると自宅の所有権は買取業者に移転します。当然相続人となる方が、相続税を支払う必要はなくなります。
また、相続税対策として生前にリースバックを活用することも可能です。あえて安価で売却し、買戻しオプションを活用して相続させたい相続人が安価で買戻すことで、実質上相続ということもできます。
ただし、買戻しは必ずできるわけではありません。リースバック契約時に買戻しが本当に可能なのか、事前の確認は必須です。
「罠」だったと後悔しないために!利用前の注意点
リースバックをした結果、「罠だった」と後悔しないために、気を付けておくべきポイントを紹介します。
リースバック契約を締結してからキャンセルを申し出た場合、違約金が発生します。後悔せず最適な選択をするため、以下の注意点を確認してください。
見積もりは複数社に依頼し、金額・条件を比較検討する
リースバック契約を行うにあたり、相続対策のようにあえて安価で売却したい場合を除いては、売却額・家賃が妥当な金額か検討するようにしてください。
このとき、1社に見積もりを取るだけでは十分とはいえません。複数社に見積もりを取ることで、相場観を正しく把握できます。
複数社に見積もりを同時に取ることを「相見積もり」といいますが、相見積もりによって業者間での価格競争を呼び起こし、有利な条件を引き出しやすくなります。
リースバック提供会社への一括問い合わせで、条件を比較しましょう!
自身だけで判断せず身内に相談する
リースバックすることを検討している場合は、必ず家族や相続人となる可能性のある方々に相談してください。
相続の関係も含め、思わぬ家族間トラブルになることも防げますし、適正な業者であるか第三者目線からも判断を仰げます。
リースバックすることで生じるメリット・デメリットを踏まえ、冷静に判断することが重要です。
メリット・デメリットは一般的なリースバックのメリット・デメリットだけでなく、自身・家族・相続人を含め、どのようなメリット・デメリットがあるのかを判断基準とするとよいでしょう。
この場合、以下のようなポイントも相談していただくことで、将来的な後悔を避けられます。
確認ポイント | 詳細 |
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最適な方法か | 本当にリースバック以外に最適な方法がないか(リバースモーゲージ・通常の売却など) |
最適な業者か | 諸条件を確認し本当にその業者でリースバック契約を締結してよいか |
将来的な視点 | リースバックし家賃が支払えなくなり、住む場所を失った場合どうするか |
相続不動産の有無 | 相続人の負担が無くなる分、買戻しをしない場合は不動産を相続できなくてもよいか |
家賃支払いによる影響 | 家賃支払い期間が長くなり、貯蓄を切り崩すなどして相続分が減ってしまってもよいか |
結果的に損しないか長期的な視点で判断する
リースバックで後悔することが多いのが、「長期的な視点で判断できていなかった」ことによる損失の部分です。
以下のような場合を除いては、一定期間以上住み続けることになるでしょう。
- 施設への入居費用の捻出
- 同居のためのリフォーム費用捻出
長く住む場合、支払うことになる家賃の総額がどれほどになるかということも併せて、リースバックするのが妥当なのか判断してください。
リースバックだけでなくリバースモーゲージや、通常の売却をした場合のことも併せて検討すると、最適な方法を選びやすくなります。
リースバックが罠かどうかは、会社によっても異なります。まずは一括問い合わせで話を聞いてみましょう。