借金の返済が難しい状況に陥ると、どのようなリスクを抱えることになるのでしょうか。
今回は、借金滞納(延滞)をしている人が知っておくべき、時効や踏み倒しのリスクについて解説します。また、リスクを避けるために取りうる手段があるので、あわせて紹介します。
借金を滞納(延滞)するとどうなる?
借金を延滞したまま放置するとどうなるのでしょうか。
借金を滞納(延滞)した場合
まず、延滞が続くと個人信用情報に事故情報が登録され、借入先から催促の電話が入ったり督促状が届いたりします。
延滞が続いた段階で、信用情報に登録されるため、新たにクレジットカードを作ったりローンを組んだりすることができなくなります。クレジットカードについては、一定期間ごとに更新の時期がありますが、その更新がなされず利用停止となる可能性もあります。信用情報への登録は、借金の延滞が続く限り、登録された状態が続きます。
借金の督促を放置した場合
延滞の督促を無視していると、これまでの分割返済が破棄され、一括での残額返済を求められるようになります。督促を無視した場合は、保証会社などの第三者が借主に代わって借金を返済する「代位弁済」の扱いとなり、債権回収の専門会社が対応の窓口になることもあります。
裁判所も無視した場合
裁判所からの通知を無視したり、裁判に出頭しなかった場合、借金について全て認めたものとして、差押えが決定します。差押えの対象は、給与(月額の1/4まで)、預貯金、車・住宅など本人名義の財産で、生活に支障をきたすだけでなく、家族や職場に知られ、迷惑をかける可能性も非常に高くなります。
裁判所からの通知は、特殊郵便である「特別送達」で郵送されるため、郵便物の受取拒否や不在票の無視などをした場合は、別の関係先に転送されます。職場を把握されている場合は、勤務先に送達される可能性もあります。
また、裁判所からの書類が本人に届かなくても送達があったとみなす「付郵便送達(ふゆうびんそうたつ)」や、相手の所在が不明な場合でも送達があったとみなす「公示送達(こうじそうたつ)」などの手続きがあるため、本人の出頭が無くても裁判が開かれ、判決が確定することもあります。
したがって、たとえ返済できそうもないという状況であっても、裁判所からの文書は放置せず、対応をしていくべきだといえるでしょう。
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借金滞納(延滞)に時効はある?
借金には、民事上の時効があります。しかし、成立には厳しい条件があり、実現は難しいといえます。
借金の時効成立年数
借入れ先 | 2020年3月31日 以前の借り入れ |
2020年4月1日 以降の借り入れ |
---|---|---|
消費者金融 | 返済期限から5年 | 返済期限から5年 |
銀行 | 5年 | |
信用金庫 | 10年 | |
住宅金融公庫の住宅ローン | 10年 | |
親族や友人などの個人 | 10年 |
借金の時効は、返済期日の翌日からカウントされます。2020年4月1日以降にする借金は、民法改正によりすべて5年に変更されています。
時効に至る年数は上記の通りですが、所定の年数を経過して借金を踏み倒すことは可能なのでしょうか。
借金踏み倒しは可能なのか
借金の時効成立には、以下のような要件があります。
- 時効が成立するまでの期間、1度も返済をしない
- 返済の承認や期日の延長などをしない
- 貸した側から裁判を起こされない
- 年数が経過した後、「時効の援用」を行う
少額であっても内入れ返済をすると借金を認めたことになり、時効はリセットされます。
所定の5年~10年の間、一度も返済をせず、督促の連絡が来ても返済の承諾をせず、さらに借入先から裁判も起こされないということは起こり得るのでしょうか。
実際には、借入先からの連絡が絶えることはなく、返済の要求は続くことが多いです。
お金を貸す側は債権回収のプロなので、合法的な手段で請求を続けます。そのため、借金を「踏み倒す」ことは、ほぼ不可能であるといえます。
借金を踏み倒すリスク
返済義務を抱えたままの生活には、当然ながら不自由さが付きまといます。
具体的には、以下のようなリスクが伴います。
信用情報への登録の長期化
借金の延滞をすると信用情報に登録され、借金を延滞している限り、その状態が続きます。もし時効が成立して返済義務がなくなっても、それから5年間程度、信用情報への登録は消えません。
夜逃げをした場合
住民票を旧住所に置いたまま逃げた場合、日常生活を送ることは非常に困難だといえます。
- 住まいを失う
- 国民健康保険に加入しにくくなる
- 運転免許証の更新ができない
- 新しい住まいや就職先を探しにくい
逃げても裁判は起こされる
住民票を残したまま逃げた場合でも、裁判は起こされます。裁判を起こされると時効はリセットされるため、いつまでも逃げ続けることは現実的には難しいといえるでしょう。
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借金の一括請求で払えない場合にできること
借金を延滞したまま3ヶ月以上経過すると信用情報に登録され、残額の一括返済を請求されます。
先に述べたように、逃げたり時効が来るのを待ったりしてもあまり意味がないので、それよりも合法的に債務の整理をしていく方が、メリットがあります。
自己破産等の債務整理
法的な債務整理手続きをすることで、債務の圧縮や返済計画の立て直しができます。
債務整理の方法としては「自己破産」が有名ですが、借金した経緯や返済能力によって、他にも債務整理の方法はあります。
債務整理の概要 | デメリット | 信用情報への 掲載期間 |
|
---|---|---|---|
自己破産 |
|
|
約5年~10年 官報に載る |
個人再生 |
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|
約5年~10年 官報に載る |
任意整理 |
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|
約5年 |
自己破産を裁判所で認定されると、所有している家や車をはじめ、換金性のある財産はすべて没収されます。
個人再生では、返済中の住宅ローンを債務整理から除外することができ、住宅ローン以外の債務を圧縮し、返済計画の立て直しをはかります。
任意整理は、将来支払う予定の利息や遅延損害金の免除を交渉する方法で、債務整理する借金を選択できます。住宅ローン返済中でも、債務整理から除外することで住まいへの影響を避けることができる可能性があります。
なお、債務整理では裁判所や借入先との交渉が必要であるため、弁護士などの専門家に依頼をすることが多いです。
リースバックで解決できる場合も
リースバックは、マイホームを投資家や取り扱いがある事業者へ売却し、賃貸借契約を交わすというものです。通常は自宅を売却すると退去が必要ですが、リースバックの場合は、家賃を払って住み続けることが可能です。
手続き次第では、住宅ローン返済中でも利用可能な方法です。また、現金化までが比較的早いため、できるだけ早く借金を返済したい場合にも適しています。
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