せっかく再就職したのに、会社が合わなくてすぐに退職したいことがあります。しかし、入社して数週間なのに、失業保険(失業給付)をもらえるのでしょうか。支給されるのはいつなのでしょうか。すぐに会社を辞めるときの失業保険の支給について解説します。
再就職⇒即退職!失業保険は受け取れる?
せっかく再就職をしたのに、すぐ退職。そんなケースでも失業保険(失業給付)を受け取れるのでしょうか。もし受け取れるのなら、いつから支払われるのでしょうか。失業給付の支払いのルールを解説します。
1週間で辞めても失業給付は受け取れる
再就職先を1週間で辞めた場合でも、失業給付を受け取れます。失業給付を受ける条件は、「雇用保険の加入が1年以上ある」ことです。そして雇用保険の加入期間には「空白期間が1年以内の場合は通算できる」というルールがあるため、前職の勤務期間と再就職までの期間によっては、再就職先をすぐに辞めても失業給付を受けられるのです。
例を挙げて見てみましょう。
- 3年勤めたA社を2022年3月31日で退職
- 2022年6月1日にB社へ入社
- 2022年6月30日でB社を退職
このケースの場合、雇用保険に加入していない空白期間(A社とB社の間の無職期間)が2カ月なので、雇用保険加入期間を通算できます。
B社だけを見ると、雇用保険加入期間が1カ月のため、失業給付は受けられません。しかし、A社とB社の雇用保険加入期間を通算すれば3年1カ月になるため、失業給付を受けることが可能になるのです。
失業給付の給付はいつから?
再就職した会社がなんとなく自分に合わないという理由で自主的に辞めた場合、失業給付がはじまるのは、ハローワークで手続きしてから約3カ月後です。
失業給付は、次のように離職理由によって給付のはじまるタイミングが異なります。
- 会社都合、やむを得ない自己都合
- 7日間の待期期間後から受給対象
- 自己都合
- 7日間の待期期間+2カ月の給付制限期間後から受給対象
自己都合で再就職先を辞める場合、やむを得ない理由がない限りは「7日間の待期期間+2カ月の給付制限期間」は失業給付を受けられません。
再就職先を退職した場合の給付期間
雇用保険の失業給付を受け取れる期間は、離職理由や離職時の年齢によって異なります。自己都合退職、やむを得ない自己都合退職の場合、年齢に関係なく「雇用保険に加入していた期間」によって給付日数が決定します。表にまとめると次のとおりです。
被保険者期間 | 給付期間 |
---|---|
6カ月以上1年未満 | 自己都合退職 給付なし やむを得ない自己都合退職 90日 |
1年以上5年未満 | 90日 |
5年以上10年未満 | 90日 |
10年以上20年未満 | 120日 |
20年以上 | 150日 |
雇用保険の被保険者期間が6カ月以上1年未満の場合、やむを得ない自己都合の場合は90日間の受給が可能ですが、自己都合退職の場合は受給できない点に注意が必要です。
会社都合退職の場合、雇用保険の加入期間と離職時点の年齢によって、受給できる日数に差があります。
被保険者期間 | 30歳未満 | 30歳以上 35歳未満 |
35歳以上 45歳未満 |
45歳以上 60歳未満 |
60歳以上 65歳未満 |
---|---|---|---|---|---|
6カ月以上1年未満 | 90日 | 90日 | 90日 | 90日 | 90日 |
1年以上5年未満 | 90日 | 90日 | 90日 | 180日 | 150日 |
5年以上10年未満 | 120日 | 180日 | 180日 | 240日 | 180日 |
10年以上20年未満 | 180日 | 210日 | 240日 | 270日 | 210日 |
20年以上 | ― | 240日 | 270日 | 330日 | 240日 |
また、就職困難者とみなされる場合は、給付期間が長くなります。就職困難者とは、そううつ病などの精神疾患を抱えている方、障害者手帳を持っている方が該当します。
被保険者期間 | 45歳未満 | 45歳以上 65歳未満 |
---|---|---|
6カ月以上1年未満 | 150日 | 150日 |
1年以上 | 300日 | 360日 |
給付日数を具体例で解説
それでは、例を挙げて受給できる失業給付の日数を見てみましょう。
Oさん(35歳)
- A社の勤務期間
- 2010年4月1日~2022年3月31日(12年)
- B社の勤務期間
- 2022年6月1日~2022年6月30日(1カ月)
- B社を自己都合退職
- 雇用保険の被保険者期間:12年1カ月
- 雇用保険の空白期間:2カ月
Oさんのケースを表に当てはめて調べると、失業給付を受給できる日数は120日です。
次は会社都合で退職したPさんのケースを見てみましょう。
Pさん(30歳)
- C社の勤務期間
- 2021年8月1日~2022年3月31日(8カ月)
- D社の勤務期間
- 2022年4月1日~4月30日(1カ月)
- E社の勤務期間
- 2022年6月1日~7月31日(2カ月)
- E社を会社都合退職
- 雇用保険の被保険者期間:11カ月
- 雇用保険の空白期間:2カ月
Pさんの例を表に当てはめると、受給できる失業給付の日数は90日です。
再就職した会社を6カ月以内で退職した場合でも、前職との合算ができれば失業給付を受けられる可能性があるのです。空白期間が1年以内であれば、通算できる会社の数に制限はありません。Pさんのように、3社の雇用保険の加入状況を通算して失業給付の受給ができるケースもあります。
離職理由は直近の会社の理由が適用される
離職理由は失業給付が受け取れる日数に大きな影響を与えます。失業給付を受け取れるにあって、適用される離職理由は「直近の会社の理由」です。
- A社を会社都合で退職後、再就職先を自己都合退職した
この場合、自己都合退職として失業給付の手続きが進められます。
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すぐ退職したときの注意点
再就職後にすぐ退職して失業給付を受けるときに、特に注意するべきポイントを解説します。
受給権が確定していないケースでの自己都合退職
ハローワークでは雇用保険の加入記録を確認できますが、最終的に失業給付を受給できるかどうかの判断は離職票を見て行われます。再就職先を自己都合かつ短期間で辞めたときの離職票だけでは、失業給付が支給できるかどうかの判断ができません。
このように、受給権が確定していない、または確定できない場合、一旦「仮状態」で手続きが進められます。
前職の離職票に加えて、「前々職の離職票(場合によっては前々々職の離職票も)」の提出を求められることがあるため、離職票を用意しておきましょう。
ハローワークの「適用課(適用係)」で再発行ができる。
前職を辞めたときに失業給付の手続きをした場合
再就職先が決まる前に、一度ハローワークで失業給付の受給手続きをしていた場合、手続きの流れが異なります。この場合、新たに失業給付の手続きを進めるのでなく、以前行った失業給付の手続きを再開することになります。
たとえば、次のようなケースに当てはまります。
- A社を2022年3月31日に退職
- 離職票が届いたため、2022年4月10日にハローワークで失業給付の手続き
- 4月20日にB社へ再就職が決まり、1日も失業給付を受けなかった
そしてB社をすぐに辞めてしまったら、2022年4月10日に行った失業給付の手続きを再開します。
なお、2022年4月10日に行った失業給付の手続きを再開する場合、ハローワークで相談すれば大丈夫です。
すぐに退職したときの失業給付の手続き
再就職後、すぐに「退職したい」と思ったら、生活を守るためにも速やかに失業給付を受給する必要があります。失業給付の手続きをスムーズに進めるには、必要書類をスムーズに用意することが重要です。
失業給付の申請に必要な書類や、手続きの流れを紹介します。
手続きの必要書類
失業給付の手続きを進めるために必要な書類は次の表のとおりです。
必要なもの | 入手手段 |
---|---|
離職票 | 離職後、会社から送付される |
マイナンバーが確認できる書類 ※マイナンバーカード、マイナンバー通知カード、マイナンバー記載の住民票のいずれか |
市区町村の役所で取得する |
本人確認書類 | 自分で用意する |
本人の印鑑(認印で可) | 自分で用意する |
写真2枚(縦3.0cm×横2.5cm) | 自分で用意する(スピード写真でも可) |
本人名義の預金通帳またはキャッシュカード | 自分で用意する |
もっとも入手に時間がかかるのは離職票で、会社によっては送られてくるまでに数週間かかることがあります。
「社会保険喪失確認表」「退職証明書」など、退職日を確認できる書類があれば、「仮状態」で失業給付の手続きを進められる。
失業給付の手続きの流れ
失業給付の手続きの流れは次のとおりです。
- ハローワークで必要書類を提出する
- 雇用保険説明会に出席する
- 求職活動を行う
- 最初の認定日にハローワークへ行く
- 求職活動を行い、4週間に1度の認定日に来所する
それぞれの手続きを詳しく解説します。
①ハローワークで必要書類を提出する
必要書類をハローワークに提出します。このときに、失業給付の受け取り方に関する簡単な説明と、雇用保険説明会の案内を受けます。不明点や疑問があれば相談することも可能です。
「会社からは自己都合で離職票が出ているけど、本当は違う」など、相談したいことがあれば初回の手続きのときに相談しましょう。
②雇用保険説明会に出席する
ハローワークの使い方やハローワークが行っている就職支援、失業給付の受け取り方の流れについて説明を受けます。
新型コロナウイルス流行の影響で、実施していない場合もあるため、事前に調べておきましょう。
③求職活動を行う
失業給付を受けるには、認定日の前日までに求職活動を行う必要があります。
次の行動が求職活動に該当します。
- 求人への応募
- ハローワークが行う職業相談、職業紹介などを受ける
- ハローワークが行う各種講習やセミナーの受講
- 許可・届出のある民間機関(民間職業紹介機関、労働者派遣機関)が行う、職業相談、職業紹介などを受ける、求職活動方法などを指導するセミナーなどの受講
- 公的機関など(高齢・障害・求職者雇用支援機構、地方自治体、求人情報提供会社、新聞社など)が実施する職業相談などを受ける。各種講習・セミナー、個別相談ができる企業説明会の受講、参加など
- 再就職に資する各種国家試験、検定などの資格試験の受験
ほかにも、「これは求職活動に該当するの?」という活動があれば、ハローワークに相談してください。
④最初の認定日にハローワークへ行く
①のハローワークで失業給付の手続きをした際に、認定日が指定されます。③で解説した求職活動を行ったうえで、認定日にハローワークへ行きましょう。認定日では、「雇用保険受給資格者証」「失業認定申告書」を提出し、「自分は失業状態で、求職活動を行いました」という状況を申告します。
離職理由が会社都合またはやむを得ない理由による自己都合の場合、最初の認定日で約20日分の失業給付が支給されます。自己都合で退職した人だと、失業給付が支給されるのは2回目以降の認定日です。
⑤求職活動を行い、4週間に1度の認定日に来所する
その後は、求職活動を行い、4週間に1度の認定日にハローワークへ行く、という流れを繰り返します。
失業給付の受給中に就職が決まった場合、「入社日の前日」にハローワークへ行き、就職の手続きを行います。
就職の手続きを行う際は、次の書類が必要になるため、用意しておきましょう。
- 雇用保険受給資格者証
- 失業認定申告書
- 採用日がわかる書類
手続きの日までに採用日のわかる書類の用意が間に合わない場合は、後日郵送してもかまいません。
公的な支援制度で失業中の負担を軽減
失業中に利用できる公的な支援制度を紹介します。経済的にサポートしてくれる制度がいくつかあるため、条件に該当する人は利用しましょう。
住居確保給付金
住居確保給付金とは、離職などにともなって家賃の支払いが厳しく、住居を失うおそれのある人が対象になる支援制度です。
次の条件すべてに該当している場合は支給対象になります。
- 主たる生計維持者が離職・廃業後2年以内である、もしくは個人の責任・都合によらず給与などを得る機会が離職・廃業と同程度まで減少している
- 直近の月の世帯収入合計額が市町村民税の均等割が非課税となる額の12分の1と、家賃の合計額を超えていない
- 現在の世帯の預貯金合計額が、各市町村で定める基準額の6月分かつ100万円を超えていない
- 求職活動を行うこと
支給額は市区町村や世帯の人数によって異なります。各市区町村が相談や申請の窓口になっているため、該当する可能性がある人は相談してみましょう。
国民健康保険の軽減制度
会社を辞めたあとは、市区町村の国民健康保険に加入することになります。
しかし、会社都合ややむを得ない自己都合で離職した「非自発的失業者」の人は、国民健康保険料の軽減措置を受けられます。
国民健康保険料の軽減措置を受けると、「離職日の翌日の属する月から翌年度3月末まで、保険料計算の根拠となる給与所得を100分の30とみなして計算」するため、保険料の支払いを軽減できます。
失業給付の手続きをすると、「雇用保険受給資格者証※」が交付されます。記載されている離職理由コードが次のいずれかに該当する場合、国民健康保険料の軽減措置を受けられます。
※交付されるタイミングはハローワークによって異なる。
- 国民健康保険料の軽減措置を受けられる離職理由コード
- 11 、12
- 21 、22、23
- 31、32、33 、34
市区町村の健康保険担当窓口で手続きができます。
生活福祉資金貸付制度
生活福祉資金貸付制度とは、次に該当する人が利用できるお金の貸付制度です。
- 低所得者世帯
- 必要な資金をほかから借りることが困難
- 障害者世帯
- 障害者手帳などの交付を受けた人
- 高齢者世帯
- 65歳以上の高齢者
生活福祉資金貸付を利用できる条件は、厚生労働省のページから確認できるため、チェックしてみましょう。なお、生活福祉資金貸付制度の相談窓口は社会福祉協議会となっています。
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