企業が募集する早期退職者には「退職金の割り増し」や「有給の買い上げ」などさまざまな優遇制度が与えられます。
早期退職の対象は40~50代が多く、退職金だけでは老後までの生活ができないため、再就職を目指す人が多いです。日本では年齢が上がるほど再就職が難しい傾向がありますが、希望する企業への再就職を成功させるにはどうすればよいのでしょうか。
早期退職者の再就職事情や必要な準備について確認しておきましょう。
早期退職者の再就職事情
厚生労働省の調査によると、2021年の年齢別の転職入職率※は、次のとおりです。
早期退職者に該当しやすい45~49歳、50~54歳、55~59歳の転職転入率が男女ともにほかの年齢よりも低くなっているため、再就職の状況がよいとは言えません。
しかし、少子高齢化によって労働人口の減少が進むなか、人材の確保に課題を抱える企業が早期退職者を採用する動きも出てきています。そのため、準備を整えておけば再就職できる可能性は充分あります。
常用労働者のなかで転職入職された人が占める割合
人材の採用に課題を抱える企業が増えている
厚生労働省の調査によれば、2022年10月時点での有効求人倍率は1.35倍で2014年以降1.0倍を超えている状態です。多くの企業が人材の確保に課題を抱えるなか、40~50歳のシニア層の採用に注目が集まってきています。
また、中小企業のなかには、従業員の教育コストの捻出が難しい企業も少なくありません。そのため、即戦力となるシニア層の需要が高まっています。
独立や起業という選択をする人もいる
早期退職したあとに、新たな事業を立ち上げて独立や起業をする人もいます。早期退職者は、長年同じ業界に携わっていることも多く、知識、スキルが豊富です。さらに、年齢もまだ40~50代なので体力があり、退職金の割り増しなど、資金面で優遇されていることから起業に適した環境が整っているためです。
独立や起業は、再就職に比べて収入が不安定になるというリスクはあります。しかし、事業が軌道に乗れば企業に雇用されるよりもお金や時間の自由度が高くなるでしょう。
また、事業を一から立ち上げるのではなく、既存の企業を購入して事業を行うことも可能です。全国には後継者問題を解決するために、第三者承継(M&A)を検討している企業も少なくありません。そのような企業を購入して経営権を獲得することで、事業立ち上げのハードルを下げられます。
早期退職をする前に必要な準備
会社が早期退職者の募集を告知してから実際に退職するまでの期間は、数カ月から1年程度です。40~50代の再就職はほかの年代と比較すると難易度が高めですが、しっかり準備をしておくことで成功する可能性を高められます。
再就職に向けた準備には次のものがあります。
- 家族の理解を得る
- 退職後の目標を決める
- 退職前に入念な調査をする
家族の理解を得る
家族がいる人は、早期退職を決断する前に必ず話をして理解を得ておきましょう。40~50代は、教育費や住宅ローンなどで毎月の支出が増えてくる時期です。相談なしで退職した結果、収入と支出のバランスが崩れてしまい、家族に迷惑をかけることもあります。
また、早期退職を相談なしで決めると、家族間の信頼関係が失われ、関係がこじれることも考えられます。仮に早期退職をどうしても断れない状況であっても、家族に話をしておくことで再就職に向けて協力してもらえる可能性があります。
クレジットカードやローンの申請は在職中に
会社を退職すると、安定した収入がなくなるため、クレジットカードやローンの審査が通りにくくなります。また、再就職してからも審査に通過するには、一定の在籍期間が必要になるケースが多いです。
そのため、自動車や家具家電の買い替えでローンを組む場合は、在籍中に行いましょう。
また、すでに早期退職しており、ローンの審査がなかなか通らないという人は、不動産担保ローンも検討してみましょう。
不動産担保ローンについては関連記事をご確認ください。
退職後の目標を決める
早期退職したあとの目標は、在職中に決めておきましょう。再就職なのか起業をするのか、再就職であれば業界や業種、ポジション、雇用形態など目標の設定は思ったよりも時間がかかります。早期退職の応募者が多ければ、それだけ市場にライバルが増えることが予想されるため、行動が遅くなれば希望する会社への再就職を先に決められてしまうかもしれません。
また、再就職はブランク期間が長くなるほど決まりにくくなるため、失業保険の受け取りや退職金があるからといってのんびりしていると、再就職がどんどん難しくなります。そのうち退職金の残りも少なくなり、理想とかけ離れた会社に急いで就職を決めて失敗する事態に陥らないように目標を早めに設定しておきましょう。
退職前に入念な調査をする
早期退職後の目標が定まったら、希望する業界や業種に求人、求められるスキル、資格など必要な情報を調査して準備を整えましょう。異業種はもちろんのこと、同業他社への再就職であっても調査と準備が必要です。
長年培った知識や経験があれば、準備なしで同業他社へ再就職できると思っていても、実際に応募してみると、企業が求めているスキルや人物像に当てはまらないこともあります。準備ができていなかったために採用基準を満たせず、せっかくのチャンスを棒に振ってしまうこともあります。
また、再就職先の年収だけでなく年収が上がる要素があるか調べることも重要です。
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準備不足であれば見送りも検討する
再就職に向けた目標を設定して、行動に向けた調査を行った結果、準備に必要な時間が不足していると感じたら早期退職を見送ることも検討しましょう。
早期退職は任意の制度のため、従業員への強制は認められていません。早期退職を断ったことによる降格や異動なども無効です。退職金の割り増しなどは魅力的に感じるかもしれませんが、準備不足で退職すると再就職ができずに生活に困窮するおそれがあります。
早期退職の応募は1回きりでなく、2回、3回と行われることもあるため、次の機会に向けて準備を進めることも大切です。
再就職ができないときの支援制度
再就職に最も重要なのが、希望する企業が応募を出していることです。準備が万全であっても応募がなければ、先に進むことはできません。また、再就職は、すべての世代がライバルです。日本では年齢が若い人の需要が高いため、再就職にあたって万全の準備をしていても、内定が取れず転職活動が長期化することがあります。
早期退職者の再就職は、さまざまな理由から長期化することも考えられるため、支援制度などの活用も検討しておきましょう。
失業保険を申請する
早期退職をしたあとは、失業手当の給付を受ける手続きを忘れずに行いましょう。失業手当は、失業した人が再就職までの期間に安定した生活が送れるように支援するためのものです。雇用保険に一定期間加入している人であれば受け取れる可能性が高いです。
早期退職の制度には「希望退職制度」と「早期退職優遇制度」の2種類があり、どちらを利用したかによって失業保険の受給されるタイミングが異なります。希望退職制度の場合は、原則会社都合の退職になるため、失業日から7日間の待機期間のあとに受け取れます。
一方、早期退職優遇制度は、自己都合退職になるため、7日間の待機期間のあと、最大3カ月の給付制限期間があります。この期間中は、失業手当がないため自己資金で生活する必要があります。
失業手当の給付手続きは、お住まいの地域のハローワークで行っています。手続きを忘れると給付を受けられないので注意しましょう。
再就職支援を利用する
再就職支援とは、人材会社が早期退職者の再就職をサポートする制度です。多くの場合、早期退職を行った企業が人材会社と契約をして、早期退職者の再就職先を探してもらいます。
早期退職後に自力で再就職先を見つけるのが難しい人は、再就職支援の利用を検討してみましょう。
なお、再就職支援は、対象者の希望だけでなく適正やスキルを総合的に判断して再就職先を提案します。そのため、希望する業界や会社が紹介されるとは限りません。
資金づくりの手段としてリースバックも検討する
早期退職をしたあとに「再就職先が見つからず貯金が減ってきた」「起業をしたいけれど資金が足りない」などの理由から資金が必要になったときは、リースバックも検討してみましょう。リースバックは、自宅を売却したあとも賃貸住宅としてそのまま住み続けられるサービスです。家の売却代金の使い道に制限がないため、生活費や事業資金にも使えます。
リースバックは、複数の会社がサービスを提供しており、売買契約や賃貸借契約の条件が異なります。そのため、リースバックを依頼する会社によって、売却代金や売却後の家賃が大きくことなることもあります。そのため、リースバックを利用する場合は、複数社の比較が重要です。
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