リースバックで自宅を売却すると、同じ場所に住み続けられる代わりに毎月の賃料が発生します。賃料は契約内容によって変わるため、低く抑えることも可能です。
リースバックの賃料が決まる仕組みと賃料を安く抑える方法を紹介します。リースバックを検討している方はぜひチェックしてください。
なぜリースバックの賃料は相場より高い?
リースバックの賃料は、周辺地域の家賃相場より高い傾向があります。賃貸住宅とリースバックでは、賃料の算出方法が異なるためです。賃貸住宅の賃料は、周辺地域の相場から算出します。相場よりも高い賃料だと、誰も入居しないおそれがあるためです。
一方、リースバックでは、周辺地域の家賃相場は考慮していません。賃料は、物件の状態やリースバック会社との契約内容で決まります。そのため、リースバックをする建物の状態によっては、賃料が周辺地域の相場よりも高くなることがあるのです。
売却価格が上がるほど賃料が高くなる
リースバックの賃料は、自宅の売却価格を基準にして決まります。まとまった資金を得るために売却価格を上げると、賃料の負担が大きくなるため注意が必要です。
また、リースバックでは売却した自宅を再び購入できる「買い戻し」ができますが、売却価格が高ければ買い戻しの価格も上がります。そのため、リースバックを利用する前に、賃貸期間や買い戻しの有無などの方向性をもとに売却価格を決めることが大切です。
リースバックの賃料を算出する方法
リースバックの家賃は次の計算式で算出します。
家賃=売却価格×期待利回り(年率)÷12カ月
期待利回りとは、売却価格に対するリースバック会社の年間収益の割合のことです。リースバックでは入居者が退去するリスクに備えて、売却しやすい物件では低めに設定され、買い手がつきにくい物件では高めに設定される傾向があります。
リースバックの賃料の算出例は次のようになります。
1,800万円(売却価格)×7%(期待利回り)÷12カ月=105,000円(賃料)
750万円(売却価格)×9%(期待利回り)÷12カ月=56,250円(賃料)
リースバックの賃料は、物件の維持に必要な管理費や修繕積立金、固定資産税や都市計画税とリースバック会社の利益を考慮して設定されます。
そのため、リースバックの賃料は、周辺地域の相場よりも高くなることがあります。
リースバックで賃料の負担を減らす方法
リースバックの賃料を下げるには次の方法があります。
- 賃貸契約の期間を短くする
- 期待利回りの低いリースバック会社に依頼する
- 賃料が一定期間無料になるリースバック会社を選ぶ
リースバックの賃料は、売却価格を下げるほど安くなります。ただし、売却価格を下げすぎると手元に残るお金が少なくなり、必要な資金が準備できない状態になるおそれがあります。
資金を手元に残しつつ賃料を安くするにはどのような方法があるのか、契約前に確認しておきましょう。
賃貸契約の期間を短くする
リースバック会社のビジネスモデルは、買い取った物件を売却して利益を得たり、入居者になるべく長く住んでもらって賃貸収入で利益を得たりなどさまざまです。
物件を売却して利益を出すリースバック会社の場合、賃貸契約の期間が異なるプランをいくつか用意しておき、期間の短いプランの賃料を安く設定している場合があります。
たとえば、リースバック会社の「あなぶきハウジングサービス」では、リースバック期間が、1年間、2年間、3年間の3種類から選ぶことができ、1年間の賃料が最も安く設定されています。
リースバック会社の賃料を抑えたい場合は、契約期間による賃料の違いにも注目しましょう。
期待利回りの低いリースバック会社に依頼する
リースバックの賃料は、自宅の売却価格とリースバック会社の期待利回りによって決まります。売却価格が高額であったり期待利回りの利率が高かったりすると、近隣の賃貸住宅の賃料相場よりも高くなり、毎月の負担が増えます。
リースバックの賃料は、期待利回りの低いリースバック会社と契約すると下げられます。たとえば、リースバックで自宅を1,800万円で売却した場合、期待利回り8%だと賃料は120,000円ですが、13%だと195,000円になり毎月75,000円の差が出ます。
賃料は期待利回りによって大きく変わるため、契約前には複数のリースバック会社を比較することが重要です。
賃料が一定期間無料になるリースバック会社を選ぶ
リースバック会社のなかには、賃料が一定期間無料になるキャンペーンを実施しているところがあります。たとえば、株式会社インテリックスが提供するリースバックサービス「あんばい」では、2カ月間のフリーレントを実施しています。
自宅の売却代金を住宅ローンや各種借入れの返済に使って賃料の支払いが難しいケースでは、このようなサービスを導入しているリースバック会社の利用も検討してみましょう。
あんばいについては関連記事をご確認ください。
リースバックの賃料の注意点
リースバックは、結ぶ賃貸借契約によって賃料が影響を受けるため注意が必要です。
リースバックの賃貸借契約には「定期借家契約」と「普通借家契約」の2種類があり、どちらで契約するかによって賃料に影響することがあります。
定期借家契約 | 普通借家契約 | |
---|---|---|
契約の更新 | × | 〇 |
賃料の値上げ | 〇 再契約で可能 |
× 正当な事由が必要 |
定期借家契約では、契約期間の満了時にリースバックの契約が終了します。期間満了後も継続して住み続けるには、リースバック会社との再契約が必要です。
一方、普通借家契約では問題がなければ契約が更新されます。リースバック会社からの契約解除は正当な事由がない限り認められないため、自主退去しない限りは自宅に住み続けられます。
再契約時の賃料の値上がりにも注意
リースバックの定期借家契約では、再契約時に賃料が上がることがあります。
再契約時にリースバック会社が賃料を新たに設定するためです。リースバック会社によっては、賃料を大幅に引き上げて再契約を諦めさせるケースもあります。
普通借家契約でも契約更新時に賃料が上がることはありますが、周辺相場の変化などの正当な理由がなければ値上げを拒否できます。
賃料の値上がりリスクを抑えるには普通借家契約を結ぶか、定期借家契約の場合は契約内容を事前に話し合うなどの対策が必要です。
設備機器のメンテナンスや修繕の費用もかかる
一般的な賃貸住宅では、給湯器やエアコンの故障や外壁や屋根などのメンテナンスや修繕にかかる費用は、管理会社や大家が負担することが一般的です。
しかし、リースバックの場合、修繕にかかる費用は居住者が負担するケースが少なくありません。契約内容によっては、すべて自己負担になり毎月の賃料以外に一時的に大きな費用がかかるおそれがあります。リースバック会社がどこまでの修繕費を負担してくれるのか、事前に確認しておきましょう。
勝手なリフォームはできない
リースバックをしたあとの自宅は、リースバック会社が所有者です。そのため、リフォームなどで建物に手を加えるときには、リースバック会社の許可を得る必要があります。
リフォームの工事内容に関しては、小規模であれば許可が出るケースが多いです。しかし、バリアフリー化のような建物の価値が変わるようなリフォームでは、許可が出ないケースもあります。
なお、リフォームにかかる費用は、自己負担になることが多いです。
リースバックの利用前に複数社を比較する
リースバックの賃料は、契約するリースバック会社によって変わるため、賃料の負担を減らすには、自宅の売却価格と期待利回りを複数社で比較して検討することが大切です。
しかし、リースバック会社1社ずつに連絡・相談をして、賃料を比較するのはとても手間がかかります。「リースバック比較プロ」の一括問い合わせサービスを利用すれば、自宅の情報を一度入力するだけで、複数のリースバック会社に問い合わせられます。
一括査定をご利用いただく前には、自宅の住所、建物の種類、建物(専有)面積、土地面積、築年がわかる資料をご用意いただくとスムーズに進められます。
自宅のリースバックの賃料を少しでも抑えたいとお考えであれば、リースバック比較プロの利用をご検討ください。
リースバックの賃料を抑えるには、一括問い合わせで複数社の条件を比較しましょう!