2020年現在、年金を担保にお金を借りられる仕組みがあることをご存知でしょうか。今回は、年金を担保にした貸付の特徴と、より効果的に資金調達ができる方法について解説します。
年金担保貸付制度とは?
まずは、年金担保貸付がどのような制度なのか紹介します。
年金担保貸付の申込方法は?
年金担保貸付とは、独立行政法人医療福祉機構によって行われている、年金を担保とする唯一の融資制度です。
一般に年金担保ローンとして知られていますが、この制度を除いて、国民年金や厚生年金といった公的年金を担保とした融資・貸付の類は法律で禁止されており、違法ですので注意してください。
年金担保貸付を利用したい場合は、年金の受け取りに使っている金融機関を通じて申し込みます。一部、申し込みの窓口になっていない金融機関もあるため、そうしたところで年金受取をしている場合は、事前に受取金融機関を変更しなくてはなりません。
申し込みには、以下のものが必要です。
- 申込書(金融機関で用意されています。借入額に応じて収入印紙が必要です)
- 年金証書(借入中は金融機関が預かります)
- 年金支給額を証明する書類(年金支払通知書など)
- 実印と印鑑証明書
- 本人確認書類
- 使途に応じた確認資料(見積書や請求書など)
申し込みに対して、実際に利用できるかどうかは医療福祉機構で審査があります。使途によっては否決されることもありますし、生活保護受給者などは利用できない決まりになっています。
審査を含めて、融資されるまでは4~5週間程度かかるとされており、残念ながら即日というわけにはいきません。このスケジュールは金融機関によって異なります。
年金担保貸付の借入金の使途は自由?
年金担保貸付は、なにに使ってもよいというわけではなく、一定の使途に限るとされています。
機構が示しているものとしては、以下が挙げられています。
- 保健・医療
- 介護・福祉
- 住宅改修等
- 教育
- 冠婚葬祭
- 事業維持
- 債務等の一括整理
- 生活必需物品の購入
旅行など遊興費はもちろんのこと、日常的な生活費も対象外です。あくまでも一時的な資金を融資するものであり、福祉的な趣旨で運営されている制度だからです。
申し込みの段階で、使途を説明するための資料(見積書など)の提出が求められます。「このような理由で借りられるのか」と不安がある場合は、事前に相談するとよいでしょう。
融資の限度額は以下のすべてを満たす額と決まっています。
- 10万円~200万円の範囲で1万円単位(ただし、生活必需物品の購入の場 合は10万円~80万円の範囲内)
- 受給している年金(年額。所得税額に相当する額を除く)の0.8倍以内
- 1回あたりの定額返済額の15倍以内
一度融資を受けたら、全額返済するまで追加融資は受けられません。
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年金担保貸付の金利と返済方法
現在、年金担保貸付の金利は「2.8%」です(労災年金を担保とする場合2.1%)。キャッシングやカードローンに比べると大変低利だといえるでしょう。
年金担保貸付は、機構が、利用者に代わって本人の年金を受け取り、そこから返済額を差し引くという形で返済していきます。
年金は通常、偶数月に2ヵ月ぶんが支給されます。支給された年金をいったん機構が全額受け取り、あらかじめ決められた返済額を差し引いたうえで、年金受取口座に残額(返済余剰金)が振り込まれます。
つまり、融資を受けている間は、それまでよりも低い額で年金を受け取るということです。
任意に、繰り上げ返済もできますが、繰り上げ返済で完済したとしても、もともとの完済予定日を過ぎるまでは再度の融資は受けられない決まりです。
なお、介護保険料、後期高齢者医療制度の保険料、国民健康保険の保険料、個人住民税を、年金からの天引きで納めていた場合、年金担保貸付の利用中は天引きされず、納付書などを用いて自分で支払う形になります。
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「完済前に死亡したら?」年金担保貸付の注意点
年金担保貸付を利用する際は、注意しなくてはならないポイントもあります。
返済を終えずに亡くなってしまったら?
年金担保貸付を利用していた人が、返済を追えずに亡くなった場合はどうなるでしょうか?
年金担保貸付の利用の際には連帯保証人を立てることになっています。そのため、債務を残して利用者が亡くなった場合は、連帯保証人が返済を求められます。
個人の保証人を立てていない場合は信用保証機関を利用しているはずですので、信用保証機関が引き受けます。
年金担保貸付を検討するとき、注意したいポイント
ほかに、年金担保貸付の利用にあたって注意したいのは、やはり生活のめどをつけておくことです。
もともとこの制度は、あくまでも一時的な資金が必要な場合を想定しています。
年金の一部で支払いを行うため、利用中は、受け取れる年金額が低下します。年金が唯一の収入だという世帯で、ほかに貯蓄や資産がなければ、生活が苦しくなるのは必至です。
低利とはいえ金利負担もあるので、ギリギリの生活をしているような人はそもそもおすすめできない資金調達手段だといえます。
2022年、年金担保貸付の終了と代替案
年金担保貸付という制度は、残念ながら令和4年(2022年)で制度が終了することが決まっています。
年金担保貸付が廃止される、その理由とは?
年金担保貸付は、本来、年金受給者が一時的にまとまったお金が必要になった際の資金調達手段としてつくられた制度です。しかし、年金が唯一の収入になる高齢者にとっては、制度を利用し、年金が返済にあてられることで収入が大幅に低下し、結果的に、高齢者の困窮を招いているという指摘がありました。
その結果、平成22年12月の閣議決定で廃止が決まったのです。以後は以下のようなスケジュールで廃止に向けて動いています。
平成22年12月 | 閣議で廃止を決定 |
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平成23年12月 | 制度を一部見直し |
平成26年12月 | 制度を一部見直し |
令和4年3月末 | 新規の申し込みを停止 |
なお、すでに利用されている融資の返済については、令和4年4月以降も通常どおり行われます。繰り上げ返済の必要などはありません。
代わりにできる資金調達は?
制度が廃止された後は、年金を担保としたローンは、別の制度ができない限り利用できません。
福祉医療機構では、代替となる制度として、社会福祉協議会が実施する「生活福祉資金貸付制度」を案内しています。
生活福祉資金貸付制度は福祉の観点から、低利で貸し付けを行う仕組みで、65歳以上の高齢世帯に対しては、一定の収入要件や、療養中・要介護状態であるなどの要件をもとに貸し付けを行っています。
ほかに、不動産を担保にした貸し付けも行われていますが、不動産を所有している場合は、ほかにも資金調達の手段があります。
代表的なものがリバースモーゲージとリースバックです。
リバースモーゲージは、自宅を担保に融資を受け、生前は利息分のみを返済し、亡くなった後に自宅を売却して精算するという仕組みです。
一方、リースバックは、借り入れではなく、まず自宅を売却して資金を手に入れ、売った自宅については、買主と賃貸契約を結んで、賃貸として住み続けます。
どちらも最終的には家を手放す形になりますが、リースバックの場合は契約次第で買い戻すこともできます。
リースバックは、借り入れではないので、負債を負わないという点がメリットです。ほかにも、
- 所有権が移るため、固定資産税などの維持費がかからなくなる
- 家を売った後も、同じ家に住み続けられる
- 外部からは家を売ったことがわからない(ご近所に気づかれたりしない)
といった利点もあります。
最終的に家がなくなるため、子どもに残すことはできませんが、不動産の分割や処分の面倒さを考えると、むしろメリットと考えることもできます。相続にあたって扱いに困る不動産を、生前に処分してしまえたことになるからです。
年金担保貸付と比べた場合、どちらも、「年金」「自宅不動産」という、高齢になっても手元に残された資産をもとに資金調達をする仕組みですが、リースバックは、
- 借り入れではないため審査がない
- 金利負担がない
- 調達した資金の使途が自由
という点で優れているといえます。
年金担保貸付の廃止が間近に迫っている今、代替となる資金調達方法として、有力ではないでしょうか。
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