生命保険の契約者貸付とは?保険会社からお金を借りるメリットと注意点

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生命保険の契約者貸付とは?保険会社からお金を借りるメリットと注意点

急にお金が必要になって困ったとき、もし、生命保険に加入しているなら「契約者貸付」を利用できるかもしれません。契約者貸付とは、保険会社が保険加入者に対して提供している融資の仕組みで、ほかにはないメリットのある貸付制度です。どういうものなのか、詳しく見ていきましょう。

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まずは、契約者貸付制度の概要をおさえ、そのメリットなどを確認しましょう。お金が必要でカードローンやキャッシングを考えているなら、契約貸付を利用したほうが有利かもしれません。

契約者貸付とは、保険会社からお金を借りられる仕組み

契約者貸付は、保険会社が自社の保険商品の契約者に対して提供しているもので、簡単にいえば「保険会社からお金を借りられる」という仕組みです。

なぜそんなことができるのでしょう。それは、保険を担保にできるからです。

お金の貸し借りでは、ただ単に「貸してほしい」と言っただけでは、貸した側に大きなリスクがあります。「本当に返してもらえるか?」が不明だからです。そこで、貸し手にとってリスクの高い融資では、高い金利が設定されたり、貸してもらえる上限額を低くしたり、そもそも貸してもらえなかったりします。

しかし、借り手は、なにか価値あるものを担保に差し出すことで、担保としたものの価値に応じた額のお金を、相応の金利で借りられるようになります。貸し手は、いざとなったら担保を換金することで返済を受けられるので、リスクを抑えられるのです。

契約者貸付とは、保険契約を担保にします。この場合の担保価値とは、保険を解約したときに受け取れる解約返戻金です。

多くの契約者貸付では、申し込み時点の解約返戻金額の8~9割の範囲でお金を借りることができます。

契約者貸付の特徴とメリット

一般のローン商品などと違う、契約者貸付のメリットを見てみましょう。

金利が低め
契約者貸付の金利は保険会社によって異なりますが、2~6%程度が主流です。カードローンやキャッシングに比べるとかなり低利なので、有利な借り入れができます。
返済期限がない
契約者貸付は、返済期限が特に定められていないことが多いです。もちろん、長期間返済しないでいると金利の負担が重なりますし、最終的には保険契約が失効するリスクもあります。しかし、返済に追われないというメリットは大きいでしょう。
審査がない
契約者貸付は、保険会社が自社の契約者に対して提供しているサービスなので、契約者であれば誰でも利用することができます。あらためて融資の審査などは行われません。
スピーディーに借りられる
契約者貸付は、保険会社に申し込んだ後、2~3営業日程度で融資実行されるのが主流です。カードローンやキャッシングほどではありませんが、比較的、スピーディーだといえるでしょう。また、申込も、電話やネットで簡単に手続きできる保険会社が多いようです。

契約者貸付を利用するときの注意点

さまざまなメリットのある契約者貸付ですが、利用にあたって注意したい点もあります。契約者貸付のデメリットや、知っておきたいポイントを整理しておきましょう。

解約返戻金がないと利用できない

契約者貸付は保険契約を担保とする借り入れです。そのため、担保にできる保険契約がない場合はそもそも利用できません。

お伝えしたとおり、契約者貸付の担保価値は解約返戻金です。そのため、解約返戻金の生じない、いわゆる「掛け捨て」型の保険しか契約していない場合は契約者貸付を利用できません

定期保険、収入保障保険、医療保険やがん保険などは掛け捨てが基本ですので、これらの契約しかない場合は利用できない場合が多いでしょう。

契約者貸付を利用するためには、貯蓄型の保険契約が必要です。たとえば、以下のようなものなどがそれにあたります。

  • 終身保険
  • 養老保険
  • 個人年金保険
  • 学資保険

なお、貯蓄性があれば外貨建ての保険でも問題ありません(貸し付けは円で受けられます)。

また、解約返戻金は、契約後、年数を経て徐々に貯まっていくものなので、契約後の年数が浅い場合は返戻金額が非常に少ない場合があります。契約者貸付は、借り入れできる金額を、その時点の解約返戻金の一定割合までとしていますので、タイミングによっては借りられる額が制限されます

近年、保険料を割安にするかわりに、保険料払込期間中の解約返戻金額を抑えた「低解約返戻金型」と呼ばれる保険商品がありますが、こうしたタイプの契約では特に注意が必要です。

返済しないままでいると保障が目減りするリスクが

契約者貸付で借りたお金に、特に返済期限はありません。しかし、だからといって返済しないままでいるのにはリスクがあります

仮に、自身が亡くなったときに1000万円の保険金が支払われる保険を契約していたとしましょう。この人が100万円を契約者貸付で借りたまま、返済せずに亡くなってしまったらどうなるでしょうか。

その場合、支払われるはずの1000万円から、借りている100万円とその利息分が差し引かれ、残った額だけが支払われます。

同様に、契約者貸付を返済しないまま、保険を解約したときも、受け取れる解約返戻金から、未返済分の元本と利息を差し引いて、契約者貸付を精算しなくてはなりません。

そのため、契約者貸付を返済しないままでいると、もしも、保険金が支払われるような事態になったときに、本来、意図したとおりの保障を受けられないことになります。これでは、なんのための保険かわからず、本末転倒でしょう。

保険はあくまでも保障のために契約するものですから、契約者貸付が便利だからといって乱用するのは考えものです。

特に、学資保険や個人年金保険など、必要な時期に必要な資金を得るために契約していた保険については、受け取れる保険金額を減らさないようにすべきでしょう。

もうひとつ注意したいのは、返済しないことで利息が積み重なり、元利合計が解約返戻金額を超えてしまう場合です。

本来、返済期限のない契約者貸付ですが、このようなケースに限り、利息分だけでも一定期間内に返済するよう保険会社から求められます。

それでも返済しなかったときは、保険契約そのものが無効になる「失効」が起きる可能性があります。せっかく加入していた保険が失効してしまっては元も子もありません。

契約者貸付の前に、選択肢を整理する

契約者貸付にはデメリットや問題点があることもわかりました。メリットがあるからと契約者貸付にだけ頼るのではなく、幅広い視点で資金調達方法を考えることが大切です。

さまざまな資金調達法の特徴を理解して選ぶ

契約者貸付は低利・返済期限がないなどのメリットがある一方、保障が目減りするリスクがあります。

カードローンやキャッシングは、金利が高いというデメリットがありますが、誰でも気軽に利用でき、融資スピードが速いという利点もあります。

どんな場合でもカードローンはダメで契約者貸付が良い、などとはいえず、それぞれの利点・難点を理解したうえで、適切な方法を取捨選択もしくは組み合わせて活用すべきです。そのために、自分が何のためにどのくらいのお金を必要としていて、どんな方法をとることが可能なのかを把握しておきましょう。

不動産があれば資金調達の選択肢は広がる

保険を契約していれば契約者貸付が可能であるように、たとえばマイホームなどの不動産を持っているなら、それを活用した資金調達が可能です。

不動産は、資金調達においてはさまざまな活用ができ、選択肢を広げることができます。どんな選択肢があり、それぞれどのような特徴を持つのかは理解しておきたいものです。ざっと挙げるだけでも次のような方法があります。

  • 賃貸して収益する
  • 不動産担保ローン
  • リバースモーゲージ
  • 売却する
  • リースバック

リースバックは近年になって注目されている方法です。

リースバックとは、不動産を売却した後、買い手との間に賃貸契約を結び、物件を使用し続けるという仕組みで、いわば家を売ったあと、同じ家に賃貸で住むというものです。

借り入れではないため金利負担などはありません。資金調達というと、借り入れることを考えてしまうかもしれませんが、売却したうえで、物件を手放さない、このような方法もありますので、幅広い視点で検討してみましょう。

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執筆・編集

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