所有している不動産を担保にお金を借入できるのは銀行だけ、と思われがちですが、実はそれ以外にもあります。その最たる例が、ノンバンクでしょう。ノンバンクは預金を行わない金融機関のことを指します。
今回は、ノンバンクの不動産担保ローンの特徴、およびノンバンクと銀行との違いについて解説します。
ノンバンクの不動産担保ローンの特徴は?
不動産担保ローンは、借入人の信用情報と、不動産の担保価値を審査し、その結果に応じて借入額や利息が決まるというローン商品です。
ノンバンクだからといって銀行の提供する不動産担保ローンと大きく異なるわけではなく、「不動産を担保にお金を借りる」という点は共通しています。また、不動産担保ローンのメリットやデメリットについても同じです。
不動産担保ローンのメリット
- 不動産を手放すことをせずにお金を調達することができる
- フリーローンより使途が自由である
不動産担保ローンのデメリット
- 返済できなくなると不動産を失う
- 審査に一定の時間がかかる
- 所有不動産に担保価値がなければ、お金を調達できない
しかし、細かなところでいくつかの違いがあります。具体的には、金利、審査の期間や内容、年齢制限、抵当権に関する制約などです。
こうしたノンバンクと銀行の不動産担保ローンの違いは、文字にすると僅かな違いですが、利用者にとっては重大な違いになることもあります。ですから、この銀行との違いについて、次章にてもう少し詳しくみていきましょう。
ノンバンクと銀行、不動産担保ローンはどう違う?
さて、ノンバンクと銀行の不動産担保ローンの違いについて詳しく解説していきます。
ノンバンクのほうが金利が高い
お金を借りる際、「いくら借入できるのか」と同じくらい、「金利はいくらになるか」がポイントでしょう。
ノンバンクは比較的審査を甘くしているため、貸手にもリスクがあります。そのため、金利が高く設定されています。
一方で、銀行は申込人の勤務先や勤続年数、所有資産や年収および返済比率(借入した場合における年間返済金額を年収で割ったもの)などを時間をかけて審査しています。
ノンバンクよりも精度の高い融資を行い、リスクを抑えているのです。結果として、ノンバンクと銀行を比較すると、ノンバンクのほうが金利が高くなっています。
ノンバンクのほうが審査に要する時間が短い
銀行の扱う不動産担保ローンでは、申込後、銀行から依頼を受けた保証会社が審査をし、融資の可否判定をします。銀行が直接審査せず第三者が入ってくることから、どうしても時間がかかります。
ちなみに保証会社とは、借入人が残債を支払えなくなった場合に、借入人に代わって銀行に返済を履行する義務を負う会社のことです。
一方で、ノンバンクは、申込から審査、融資実行まですべてを自社で行い、審査に時間をかけない傾向があります。場合によっては、即日融資を受けられることもあります。
ノンバンクのほうが担保不動産を高く評価することがある
ノンバンクの扱う不動産担保ローンでは、担保不動産の評価において、実勢に応じた評価がなされることがあります。評価方法は、以下の3つが代表的です。
- 原価法
- 構造物(木造や鉄筋コンクリートなど)を当初調達した際にかかった1㎡あたりの金額を建物面積に掛け、その値を築年数から耐用年数を割った値を掛けて算出する方法です。
土地については、実勢価格(実際に取引された価格)を採用します。 - 取引事例比較法
- 担保として取得を予定している不動産と条件が近い不動産の取引事例を集め、それらを総合的に判断し、担保物件を評価する方法です。現状の不動産価格に近い評価が見込まれます。
- 収益還元法
- 担保不動産は居宅のみではありません。現在賃貸しているアパート等集合住宅も担保不動産になりえます。そのような収益物件に用いられ、賃貸により一定期間の収入を還元利回りで割ることで不動産価格を算出する方法です。
いずれにせよ、どのような評価方法を採用するかはノンバンクの判断次第ですが、比較的甘い不動産評価がなされることがあります。
対して銀行は、低金利で融資をする分、リスクを最小限に抑えた審査を行います。銀行はほとんど全てが、路線価で評価額を算出します。路線価とは、国税庁が7月に発表する土地の価格のことで、主に相続税の算出に使われます。
路線価は、実勢価格の約70%とされており、加えて、その評価額の70%が「担保価値」になります。結果として、担保不動産の評価額は実勢価格の約半分となります。
ノンバンクのほうが申込年齢、完済年齢の制限が緩い
銀行においては申込年齢の上限、及び完済年齢を定めているのがほとんどです。申込年齢は20~75歳、完済年齢は85歳未満と定めている銀行が多いです。
一方、ノンバンクは申込時、完済時の年齢制限がないこともあります。場合によっては、急にまとまったお金が必要となった年金受給者でも不動産担保ローンを利用できます。
ノンバンクのほうが抵当権設定順位について甘い
抵当権の設定順位についても銀行は厳しく取り扱っています。設定順位とは、お金を借りるときに不動産を担保に入れた順番のことです。大半の銀行は、抵当権設定順位が1番であることを、融資する際の条件としています。
たとえば、現在住宅ローンなどでお金を借りており、新たに銀行でその不動産を担保に不動産担保ローンを申し込むのなら、銀行の抵当権設定順位は2番です。この場合に、銀行は受け付けてくれないというわけです。
ちなみに、こういったケースでは、借り換えという形で当初の住宅ローンを完済し、抵当権設定順位が1番になるようにしてから不動産担保ローンにて融資を受けるのが一般的です。
一方、ノンバンクにおいては抵当権設定順位について銀行ほど厳格ではなく、「2番でも可」としていることがあります。
ノンバンクの不動産担保ローンはリスクが高い?
銀行との違いをみると、ノンバンクの場合は比較的早く、そして容易に借りられる反面、リスクが高いことがわかります。
ノンバンクのリスク
- 金利が高いことや、本人の返済能力に借入額が合わないことから、返済難に陥りやすい
- 必要な額を調達できない可能性がある
リスクが低く、銀行の審査ほど厳しくない方法で資金調達することはできないのでしょうか。そこで考えたいのが、リースバックです。
リースバックなら早く、審査なく現金化できる?
リースバックとは、所有している不動産を売却し、その後は賃貸として同じ家に今までどおり住むことができるサービスです。
買主がリースバック取扱事業者であれば、物件査定後に、すぐに買い取ってもらえることがあります。また、融資ではないので本人の与信を調査しないため、銀行融資のような審査の面での厳しさもありません。
とはいえ、リースバックにも注意点はあります。たとえば、物件査定で金額が安く出てしまえば、調達できる資金が少なくなる点です。また、高額査定が出た場合も、その分、その後の賃料が高くなる可能性もあります。こうした点には、注意が必要です。
リースバックは比較的新しいサービスなので、事業者によって買取価格も賃料もバラツキが大きいといわれます。ですから、利用を検討する際は複数の事業者に問い合わせて、条件を比較してみるとよいでしょう。
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