お金がなく、生活に困ったときの救済制度である「生活保護」。
最後の手段のように捉えられていますが、公的な制度ですから、必要があれば活用すべき仕組みといえます。しかし、いざとなると、自分でも利用できるのか、などわからないことも多いものです。仕組みや注意点を整理してみましょう。
自宅を売却して住み続けられる「リースバック」をご紹介します。
生活困窮のセーフティネット「生活保護」とは
まずは、生活保護制度の基本的な概要を確認しましょう。
生活保護は、国民に「健康で文化的な最低限の生活」を保障するために、生活に困っている人に対して、国が保護をして、自立を助けるという制度です。厚生労働省が管轄しています。
生活保護の概要
現在、全国で約163万世帯、200万人に及ぶ人が生活保護を受けています(令和3年5月現在)。
生活に困っていて、ほかにどうすることもできないという場合、地域の福祉事務所などを通じて、生活保護の申請をすることができます。
申請があった世帯の収入が最低生活費を下回っている場合、最低生活費に満たない分を国から支給されるというのが、生活保護の基本的な仕組みです。
支給額の基準となる最低生活費は、
- 住んでいる地域
- 世帯の人数や、世帯員それぞれの年齢
などからルールにもとづいて計算し、世帯単位で支給額が決まります。
おおむね、月あたり10~20万円程度になることが多いでしょう。子どもの多い家族などはもっと高額になるケースもあります。
この最低生活費に満たないぶんの支給は「生活扶助」「住宅扶助」と呼ばれる、日常の生活にかかる費用(水光熱費など)と、住むところのための費用(家賃など)に対する支給です。
生活保護が認められた人に対しては、これとは別に、目的・用途に応じた給付も受けられます。具体的には次のようなものです。
- 教育扶助
- 医療扶助
- 介護扶助
- 出産扶助
- 生業扶助
- 葬祭扶助
医療・介護や出産など、その必要がなければ出費がないので、「基本的な支給には含まれてないけれども、必要があれば生活費とは別に支給しますよ」という意味合いの支給です。
出典:被保護者調査|厚生労働省
生活保護を受けられる条件
生活保護は、本当に困っている人のための福祉制度のひとつです。利用にあたっては審査があり、必要性がないと判断されれば利用することはできません。
生活保護の条件について確認しておきましょう。
持ち家などの今ある資産の活用が求められる
生活保護が申請されると、福祉事務所のケースワーカーによる調査が行われます。
生活保護の支給が認められるためには、次の4つのことを行ってなお、収入が最低生活費に満たないという状況でなくてはなりません。
- 資産の活用
- 能力の活用(働ける場合は働いて収入を得る)
- 扶養義務者の援助(親族などの援助を受ける)
- 他の制度の活用
特に注意したいのが「資産の活用」です。
「たとえ今現在の収入がゼロであっても、預貯金があるのなら、生活保護より先にその資産を活用してください」というのが、生活保護の考え方です。
そのため、原則として、預貯金がまだ残っているうちは生活保護は支給されません。生活保護はまさしく「最後の手段」でなくてはならないのです。
預貯金だけでなく、貴金属などの売却できるものや、解約すれば解約返戻金がある保険なども、売却・解約を行ってからでなければ、生活保護は利用できません。
自動車なども基本的には売却すべき資産の一種ですが、自動車がないと暮らすのが難しい地域などでは例外的に所有が認められる場合もあります。
持ち家がある場合は生活保護は受けられないケースが多い
資産を所有したまま生活保護は受けられないため、とりわけ重要なポイントになるのが住まいについてです。
持ち家を所有している場合、それはまぎれもなく「資産」ですから、生活保護の原則である「資産の活用」に従って、所有したまま生活保護を受けることはできません。
ただし、例外として、
- 住宅ローン残債がない
- 物件にあまり資産価値がない
- ほかに住む家を持っていない
という場合は、所有したまま生活保護が受給できるケースもあります。
上記のような場合、売却してたとしても、その後賃貸物件に引っ越して生活保護を受け、賃料に相当する住宅扶助を支給されるほうが、もとの家に住み続けた場合よりも支給される扶助額が多くなるケースがあります。そういう場合は、もとの家に住み続けながら、生活保護を受給できるでしょう。
なお、住宅ローンの残債がある場合は、生活保護は受けられません。
これは、その状態で生活保護を受給すると、扶助がローン返済に使われてしまうこととなり、生活保護の趣旨にそぐわないからです。この場合も、生活保護を受給するためには、まず家を売却しなくてはならないでしょう。(ローンの残高が少なく、完済が近い場合は認められるケースもあるようです)
もちろん、住む家とは別に所有している不動産なども、所有したままでは生活保護の受給はできません。
持ち家があるため生活保護を利用できない場合の対策
持ち家を所有していると、生活保護を利用できないケースが多いことをお伝えしました。しかし、生活保護が必要だが、今の家には住み続けたい……という人も少なくないでしょう。そんな場合は、どうすればいいのでしょうか。
不動産を活用したお金の借り入れ
資産価値のある不動産を所有しているが、収入が少なく、生活保護も検討しなければならない状況……。そのような場合は、原則として、まずは物件を売却し、売却益で生活を立て直すのが最善です。
しかし、物件を売ってしまうと、それが自宅であれば、住むところを失ってしまいます。
愛着あるマイホームや実家なので、できれば手放さずに住み続ける方法はないでしょうか。
まず考えられるのは、物件を担保にお金を借り入れる方法です。不動産担保ローンなどを利用することで、まとまったお金を手にすることができますが、この場合、
- 返済の負担が発生する
- 家に抵当権が設定され、最終的には失うリスクがある
という問題があります。
借り入れたお金でうまく生活が立て直せればいいのですが、それに失敗した場合、金利の負担があるぶん、より困窮した状況に追い込まれるリスクがあります。そして、担保とした物件を手放さずをえなくなりますから、結局は家を失う可能性があります。
売却した後も家に住み続けられるリースバック
もうひとつ、考えられる方法として、リースバックがあります。
リースバックとは、家を売却した後、買い手との間に賃貸契約を結び、物件の使用は今までどおり続けるという仕組みです。
つまり、家は売ってしまうのですが、以後は賃貸物件として、賃料を支払いながら住み続けることができるというものです。
売却したことで所有権は移ってしまいますが、住み続けることはできるため、形のうえでは家を失いません。
また、借り入れではないので、調達した資金は返済の必要はなく、金利の負担がないのもメリットです。
そして、もっとも重要な点として、リースバックを利用すれば、住まいは持ち家ではなくなりますから、売却益として手にしたお金がなくなって、生活保護に頼らざるを得なくなったときも、その家に住み続けながら生活保護を利用できる可能性があるということです。
そのため、生活保護を利用しなければならない可能性までも見越して考えるならば、不動産担保ローンなどよりも、リースバックのほうが向いているといえるでしょう。
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生活保護を受けるには持ち家を売却すべき?