マイホームを手に入れたばかりなのに、すぐに売却をするケースがあります。家は大きな買い物なので十分に計画した上での購入だったはずですが、なぜそのようなことが起きるのでしょうか。
今回は、新築住宅や買ったばかりの中古住宅を売却する理由について考察します。また、買ったばかりの家を売ることにデメリットはないのか、あわせてみていきましょう。
やむを得ず家を手放す場合でも、その家に住み続けられる方法をご存知ですか?
新築住宅をすぐに売却する理由は?
せっかく買った家でも諸事情ですぐに売却することがあります。
ここでは、新築住宅を購入してからすぐに売却する理由の中で、特に多いものをみていきましょう。
物件が合わなかったため
単純に、新築を買ってみたものの、住んでみると間取りや部屋の広さが気に入らずに住み替えるケースがあるようです。
また、住んでみてから建物の瑕疵が見つかった場合や設備不良などが続くことで売却に至るケースもあります。ここでの瑕疵とは、建物の不具合や欠陥などを指します。
離婚などで生活が変化したため
結婚を機にマイホームを購入したものの、すぐに離婚して家を売却するケースがあります。
離婚で売却する場合には、住宅ローンの名義に注意が必要です。夫婦共有名義の場合、二人の収入から返済をする必要があるため、どちらか一方が住み続けるという選択がしにくくなります。そのため、多少金額が安くても、自己資金で補ってでも売却せざるを得ないことが多いといえます。
また、離婚のほか、病気や身内の不幸などの事情で生活が変化し、購入したばかりの新築住宅を手放すことになるケースもあります。
住宅ローン返済が困難になったため
新築の家を購入後、何らかの事情で住宅ローンの返済が困難になり、すぐに売却しなければならないこともあります。
住宅ローンの返済が困難になる事情はさまざまですが、大きく分けると以下の2つです。
- 収入の減少
- 景気の悪化などで給料が下がったり職を失ったりすることで、住宅ローンを組んだときの収入を維持できなくなるケースがあります。2021年現在は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で、住宅ローンの返済を滞る人が増えています。公的機関の補助でも足りず、生活を立て直すことができなかった結果として自宅を売らざるを得なくなることもあるようです。
- 支出の増加
- 病気で多大な医療費がかかったり子どもの進学などで教育費がかかったり、住宅ローンを組む時点で想定していなかった出費が生活を圧迫するケースもあります。毎月同じように発生する固定費の見積もりはできていても、まとまった出費が発生することに備えていなかったということも多いようです。対策については後述します。
全体を通してみると、新築住宅の場合は比較的ネガティブな理由で売却していることがわかります。一方、中古住宅の場合はどうでしょうか。
買ったばかりの中古住宅を売却する理由は?
次に、中古住宅ならではの事情をみていきます。なぜ、買ったばかりの中古住宅を売却するのでしょうか。
築浅ならば高く売れるため
築浅物件であれば高く売れる可能性が高いといえます。
例えば、東京の中古マンションの取引データをみると、築年数が5年以下ならば取引価格は平均7,358万円です。これが、築6年から築10年で平均6,529万円と、たった数年で829万円もの平均価格が下落しています。
出典:首都圏中古マンション・中古戸建住宅 地域別・築年帯別成約状況
この背景から、少しでも高いうちに物件を売却して、新たな家に住み替えることを検討する方も多くいます。
住み替えをするため
中古住宅は、購入直後に売却をしても、新築ほど価格が下落することはありません。
新築住宅には、まだ誰も住んでいないことや、広告宣伝費やモデルルーム運営費などが価格に組み込まれていることから、「新築プレミアム」と称される付加価値がついています。新築に1日住めば「新築プレミアム」がなくなり、単純な経年分以上に価値が下落するといわれています。
価値が下落しにくいのならば、購入時点で売却を視野に入れていてもおかしくありません。実際、転勤や転職、子どもの進学などを想定して中古住宅を購入する人が一定数いるようです。
ちなみに、リクルート住まいカンパニーの「2020年 住まいの売却検討者&実施者調査」によると、コロナ禍以降に自宅の売却検討する「促進」になった人の割合が多くなっていることがわかっています。理由として「もっと住みやすい住まいに住み替えたいから」、「自分の価値観や考え方が変わったから」などがあります。
中古住宅の場合は、ポジティブとまでは言わずともネガティブではない売却理由も多くみられ、新築住宅とは事情が大きく異なることがわかります。
買ったばかりの家を売ることにデメリットはないの?
買ったばかりの家であっても、場合によっては損することもあります。それぞれのデメリットも解説します。
売却理由によっては購入希望者が少ない
売買仲介によって第三者に不動産を売却する場合、購入希望者は、前の所有者の売却理由も参考にすることがあります。その売却理由が、ネガティブな場合、購入希望者が少なくなるかもしれません。
例えば、水漏れなどの物件に欠陥がある場合や、周辺環境が騒音やにおいに問題がある場合です。
新築ならば価値下落が著しい
先述のように、新築住宅には新築プレミアムがあります。これにより、新築で買った家をすぐに売る場合は、購入金額よりも大幅に価値が下落している可能性があります。
利益が出た場合の税率が高い
家を売却し、譲渡所得がある場合には、所得金額に応じて所得税や住民税を支払う必要があります。この税率が家の保有期間によって異なるため、買ってすぐに家を売る場合のデメリットとなります。
所有期間が5年以下の場合「短期譲渡所得」、5年超は「長期譲渡所得」となり、税率は以下のようになります。
所得税 | 住民税> | |
---|---|---|
長期譲渡所得 | 15% | 5% |
短期譲渡所得 | 30% | 9% |
短期譲渡所得は、長期譲渡所得よりも約2倍の所得税です。
買ったばかりの家を売却するならリースバックも検討を
やむを得ず家を買ってすぐ売却する場合は「リースバック」という方法があります。リースバックは、自宅を売却したあとも賃料を払ってそのまま住み続けられるサービスのことです。自宅の売却代金を受け取りながら、引っ越さずにそのまま住めることが、リースバック最大のメリットです。
また、リースバック会社が自宅を買い取るため買主を探す必要がなく、現金化が早いのも特徴のひとつです。契約内容次第では、自宅の買い戻しも可能です。ただし、多くのリースバック会社では定期借家契約を結ぶため、住める期間に限りがあることに注意しましょう。
またリースバック会社によって、条件やサービス内容に違いがあるため、必ず1社だけでなく複数社と相談しましょう。複数のリースバック会社に問い合わせるときは「リースバック比較PRO」が便利です。土地や建物の情報や連絡先などを入力するだけで、一括して複数のリースバック会社に問い合わせられます。あとは、リースバック会社ごとの条件やサービス内容の違いを比較して、気に入った会社と契約するだけです。
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