リースバックを利用するためには「不動産売買契約」と「リース契約(不動産賃貸借契約)」という二つの契約が必要となり、それらを並行して進めていく必要があります。
利用する際は、一般的な不動産取引とは異なるため、契約後のトラブルを防ぐために、契約内容を理解しておくことが重要です。具体的な契約までの流れや契約書の内容、特約、契約の注意点をみていきましょう。
こちらでリースバックをわかりやすく解説しています!
リースバック契約の流れ
リースバックの契約に至るまでには、以下のようなプロセスがあります。
- 不動産の査定
- 不動産売買契約
- 代金清算
- 賃貸借契約
リースバックでは、「引渡」というプロセスがありません。居住者は転居の必要がないからです。
そのため、契約書類のやり取りはあるものの比較的スムーズに段取りできます。
とはいえ、全体の流れをつかむことは大切です。まずは、リースバック契約が完了するまでの全体の流れを確認しておきましょう。
①不動産の査定
まずは、専門の事業者に査定依頼を出して売買金額を知ることから始まります。
リースバック以外の一般的な不動産の査定を行うときは、近隣取引事例データをもとにした「取引事例比較法」という手法を用いて金額を算出します。
一方でリースバックは、「収益還元法」という考え方をベースに査定額を算出することが多いです。これは、該当の不動産を収益物件として見たときに投資元の採算がとれるように金額を算出するというものです。
そのため、買取査定が高いほどリース料も高くなり、逆に賃料が安いと買取査定も安くなる傾向があります。
②不動産売買契約
双方で査定金額の合意がとれたら、契約手続きがスタートします。
リースバック契約では、まずは売買契約を結んで建物の所有権をリースバック事業者に移す必要があります。
売買契約の際に大切なのは、関係者(契約当事者)の整理です。
不動産が共有名義であれば、単独で売買契約を行うことはできません。共有であることをあらかじめ事業者に伝え、共有者全員で手続きに参加する必要があります。
また、リースバック事業者側に別の買主や仲介業者など複数の事業者が介入していることもあるので、契約相手のことも把握しておくとよいでしょう。
③売買代金清算
売買契約の締結後、リースバック事業者(買主)から売買代金の清算が行われます。
代金清算は、現金で支払える資金力のある会社であれば売買契約と同日に行われることもあります。
即日清算不可な場合は、清算予定日を確認しましょう。
④不動産賃貸借契約
リースバックでは、売買代金の清算と同時に不動産賃貸借契約を締結することが多いです。
契約時に仲介手数料や敷金・礼金などの諸経費が発生する場合がありますので、費用についてあらかじめリースバック事業者から説明を受けるようにしましょう。
なお、不動産賃貸借契約には、「普通借家契約」と「定期借家契約」という形態があり、それぞれ契約の性質が異なります。
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リースバック契約書に記載される内容を確認しよう
実際の契約書にはどのようなことが記載されているのでしょうか。
売買契約書・賃貸借契約書の記載内容と、確認すべきポイントについて説明します。
不動産売買契約書
リースバックで使用される様式は、一般的な不動産売買契約書と大きな違いはありません。
主に以下の項目が記載されています。
- 売買金額
- 手付金および残代金の額
- 決済日(引渡日)
- 賃貸借契約についての特約
- 買戻し特約がある場合は、金額・期間など
売買契約と賃貸借契約を同日に締結しない場合は、売買後に万が一賃貸借契約が交わされなかった場合にどのような扱いになるのか確認する必要があります。
特約について、後ほど詳しくお話しします。
不動産賃貸借契約書
普通借家契約か定期借家契約かによって、契約の効力が異なります。
契約の種類 | 特徴 |
---|---|
普通借家契約 | 半永久的の賃貸契約 |
定期借家契約 | 決められた期間のみの賃貸契約 |
リースバック契約における不動産賃貸借契約については「定期借家契約」となっているケースが多いようです。
普通借家契約
普通借家契約の大きな特徴は、借主の意向で、原則として半永久的に契約を持続できるということです。例えば、契約期間を2年と定めた場合であっても、期間満了時に借主が継続して居住する意向があれば原則として同内容で契約が自動更新されます。
貸主側は「正当事由」があれば契約更新を拒絶できます。しかし、法律的に正当事由があることを証明することは難しく、実質的に貸主の一存で契約を終了させることは極めてハードルが高いとされています。
定期借家契約
期間をあらかじめ定めた不動産賃貸借契約を定期借家契約といいます。
定期借家契約を締結した場合、契約期間の「延長」「更新」という概念はなく、正当事由の有無にかかわらず、契約満了時に自動的に契約が終了します。
例えば、契約期間2年という定期借家契約を締結した場合において、期間満了後も住み続けたいときは、貸主と借主の双方の合意の上で改めて借家契約を結び直す必要があります。ここが普通借家契約との大きな違いです。
契約時に注意すること
契約書の内容でリースバック利用者が気を付けなければならない点は、以下の通りです。
- 各種諸経費
- 売買契約や賃貸借契約の際の諸経費がいくらになるのかを事前に確認する必要があります。
また、賃貸借契約を更新・再契約するときの仲介手数料・敷金・礼金などの諸経費の有無についても把握しておくようにしましょう。 - 不動産賃貸借契約の内容
- 不動産賃貸借契約の種別(普通借家、定期借家)のほか、契約の期間、期間満了時の更新・再契約の有無について把握する必要があります。
特に定期借家契約の場合においては、期間満了時の再契約がどのように担保されているのかを確認する必要があります。居住期間に希望がある場合は、契約時にリースバック事業者に伝えておくようにしましょう。 - 家賃(リース料)の値上げについて
- 不動産賃貸借契約の更新・再契約時において、家賃が値上げされることがあらかじめ契約書内で記載されていることがあります。
賃貸借契約の更新・再契約が保証されている場合であっても、家賃が上がると支払いが困難になってしまうかもしれません。ご注意ください。
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リースバックの契約には、さまざな特約も
リースバック契約において、特約が付されることがあります。
内容によってはトラブルに発展してしまうこともあるので、契約前にしっかりと特約を理解しておかなければなりません。具体的にみていきましょう。
買戻し特約
リースバックで売却した不動産を将来的に買い戻したいと考えているならば、事業者によっては、買戻し特約を交わすことができます。これを付けることで、一定期間であれば自由に不動産を買い戻せます。
また、買戻し特約の内容は登記できます。そのため、万が一リースバック事業者が第三者に住宅を転売した場合においても転得者に買戻しを主張できます。
リースバックを利用した住宅の現金化が一時的な場合は、買戻し特約が有効な手段です。
借家契約の中途解約に関する特約
リース契約の形態が定期借家契約となっている場合、原則として中途解約できません。居住中に契約を解約すると違約金が発生することもあります。
ただし、契約書に中途解約に関する特約が定められている場合は、その規定に従って解約できることがあります。定期借家契約の場合はこの特約の有無について確認するようにしましょう。
禁止事項等
借主が不動産を利用する上で禁止される事項が特約として記載されることがあります。
具体例として、又貸しの禁止やペット飼育の禁止、リフォーム等の禁止などがあげられます。禁止事項によって自分の希望する利用方法が実現できなくなることがあるので、注意が必要です。
契約違反時のペナルティ等
賃貸借契約中に借主の契約違反があった場合のペナルティが規定されることもあります。契約の解除など重いペナルティが科されることもあるため、禁止事項とあわせてしっかりと理解しなければなりません。
契約の要点を押さえて有効活用を
リースバックは、住宅ローン返済が厳しい場合や教育資金、老後資金が不足しているときなどに活用できる便利な仕組みです。しかし、比較的新しい取引形態のため、契約トラブルが起きる可能性も否めません。
利用する際は、契約の要点を押さえて、不本意な取引とならないように気をつけましょう。
リースバックは落とし穴も多い契約です!優良な業者と良好な契約ができるように、一括で複数の業者に相談して、自分にぴったりな業者を探しましょう!