個人事業を営んでいたものの、経営が思わしくなくなり、やむなく廃業をすることもあるでしょう。特に、新型ウィルスによる昨今の状況では、個人事業主の廃業相談は増加傾向にあります。
今回は、個人事業主の廃業についてみていきます。
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個人事業主が廃業する際の手続きとは
個人事業を廃業する場合、どのような手続きが必要なのでしょうか。
税務署と都道府県税事務所に対して廃業届が必要
法人に比べれば、やるべきことは多くありません。しかし、簡素であっても必要な手続きはあります。
まずは「廃業届」を行いましょう。
廃業届は、すべての個人事業主が、廃業するときに必要です。株式会社などと違って、個人事業は廃業届を出さないと事業が終了したことが行政に認知されません。そのため、廃業したのに手続きを行わないでいると、確定申告を求められたり、無用なトラブルになる可能性もあります。
廃業届は、
- 所轄の税務署
- 都道府県の税務事務所
の2箇所に対して行います。
税務署に対しては「個人事業の開業・廃業等届出書」を記入し、提出します。この手続きは廃業後1ヵ月以内に行うこととされています。
このときの廃業日は、特に事情がなければ事業主が決めた日で良いようです。
都道府県税事務所に対しては「事業開始(廃止)等申請書」を提出します。ただし、この申請書の呼び名や様式は都道府県によって異なることがあります。
また、提出期限も都道府県によって異なり、廃業後遅滞なく(つまりなるべく早く)提出すると定められているところもあります。期限を確認するとともに、どうせ行うものですので税務署への廃業届と合わせて早めにやってしまうのがいいでしょう。
税務署と税事務所に対する廃業届は、すべての個人事業主が廃業に際して必ず行わなければならない手続きです。
加えて、個人事業において次のような場合にあてはまる個人事業主は、それぞれ別の手続きが必要です。
対象となる人 | 必要な手続き |
---|---|
青色申告をしていた人 | 所得税の青色申告の取りやめの届出 |
消費税の納税をしていた人 | 事業廃止届出書の提出 |
予定納税がある人 | 所得税等の減額の申請 |
従業員を雇用していた人 | 給与支払事務所等の廃止届 |
上記の手続きはすべて所轄の税務署で行います。
これらは税金に関連する手続きですが、従業員を雇用していた場合には社会保険に関する手続きも必要です。
労働保険に関することはおもにハローワークで、年金保険・健康保険に関することは年金事務所で手続きを行います。
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個人事業主が廃業したら確定申告は不要?
個人事業主であれば、毎年、確定申告を行っていたはずです。確定申告は、例年3月半ば頃までに、その前年分の所得を申告することで、納税額などを確定させる手続きです。
事業を廃業したのだから以後は不要だろうと思いがちですが、それは間違いです。
廃業届後も確定申告は必要。青色申告特別控除に注意
例年2月~3月に行っている確定申告は、その前年の所得についての手続きです。前年中に廃業したならば、前年の年始から廃業日までの事業所得について申告しなければなりません。
廃業したからといって申告を怠り、無申告になってしまうことのないよう注意しましょう。
正確には、確定申告すべき所得がない場合や、あっても20万円以下になる場合などは、申告は不要とされています。事業環境が悪化して売上がない場合などは、事業所得が少なく、結果として申告不要になる場合もあるかもしれません。
ただし、要注意なのが青色申告控除の存在です。
個人事業主は事前に手続きをしたうえで複式簿記で帳簿をつけるなど一定の要件を満たせば、青色申告という形式の申告ができます。この場合に限り、最大65万円の控除を受けることができます(青色申告特別控除)。青色申告により事業所得から最大65万円を差し引くことができ、結果として所得税の課税が抑えられるという仕組みです。
それでは、この青色申告特別控除を行った結果、所得が20万円以下になった場合、申告は不要なのでしょうか。
答えは「申告が必要」です。
所得が20万円以下ならば確定申告は不要ですが、青色申告特別控除は「青色申告をしたとき」に受けられる控除ですから、申告は必要なのです。この場合、申告をしないと65万円の控除は受けられず、所得は20万円以上あるのに申告しなかったことになってしまいます。
このようなケースもあるため、廃業後も、廃業年の翌年2月~3月の確定申告は行うと考えておきましょう。
なお、廃業届について、青色申告をしていた人は青色申告のとりやめの届出も必要です。この手続きは、廃業によって青色申告を行う事業主でなくなったことを届出るという手続きですので、廃業年翌2月~3月の確定申告は、青色申告で行うことができます。
確定申告で「廃業後の経費」は計上できる?
確定申告では、事業から得た収入と、支出した必要経費の額などを申告して所得を計算します。
本来はいくらの経費を計上するかが重要ですが、廃業年については、「廃業後に発生した経費」をどう考えるかというポイントもあります。
廃業をして業務は終了したとしても、たとえば事務所の片づけなど、やるべきことをやって経費が生じる場合もあります。廃業届に廃業日として記載した以降の日付で発生した経費を、費用として計上してもいいのでしょうか。
本来は廃業日で事業は終了しているので、経費にはなりませんが、現実的には「事業を廃止した場合の必要経費の特例」によって、一部、認められる場合もあります。
ただし、税務署の判断で認められない場合もありますので、できるだけ、廃業届の日付を年末近くに設定し、必要経費は事業継続期間中に計上しておくのがいいでしょう。
廃業するにも費用が必要?
自身で廃業の決断をすることは、ギリギリまで事業を続けた結果として破綻する(法人でいう「倒産」のような状態)よりも、多少でも余裕のあるうちにさまざまな整理を行ったうえで事業を終了できるメリットがあります。
反面、廃業に向けてきちんとした始末をつけようとすればするほど、そのための労力はもちろん、費用も必要です。廃業にメリットやデメリットがあるとするなら、デメリットはこの点だと言うこともできるでしょう。
廃業するときに必要になるお金
廃業届を出すこと自体には、特に費用はかかりません。
しかし、次のようなことに対して費用が必要な場合があります。
- 在庫の処分
- 設備の処分
- 事務所などの片付けや原状回復
- 従業員への退職金
資金繰りが厳しいから廃業を考えているという場合、廃業のためにもお金がかかるのは、なんとも理不尽に感じるかもしれません。
しかし、事業をたたむのであれば、お客様や従業員はもちろんのこと、関係する人々にできるだけ迷惑のかからない形で行いたいものです。「立つ鳥跡を濁さず」と言いますが、後々、事業の再開を考えている場合は、特に大事なことではないでしょうか。
そのため、廃業の決断をするのは、廃業そのものにもお金がかかることを理解したうえで、ある程度の資金が残っている段階で行うのが理想的です。
とはいえ、事業環境などにより、資金が底を尽きそうな状況で廃業せざるを得ない場合もあるでしょう。
事業を続けられないが、廃業のための資金すらない、という進退窮まる状態では、早急に資金を用立てる必要があります。考えられる方法としては、
- 借り入れ
- 公的な給付金や助成金などの申請
- 資産を売却して資金をつくる
といったものがあります。
借り入れは、廃業を前提としていると、借りられるところも限られてきますし、廃業を前にして債務を負うリスクは高いです。
給付金や助成金で都合の良いものがなければ、資産の売却が第一の選択肢になるでしょう。
このとき、事務所や店舗に、自身が所有する不動産を使っている場合や、自宅を所有している場合、リースバックという方法を検討することができます。
不動産を売却後も使用し続けられる「リースバック」とは
リースバックとは、不動産を売却した後、買い手との間に賃貸契約を結び、物件をそのまま使用し続けるという仕組みです。
売却益を得られる一方で、売却とは違い、物件そのものを手放す必要がありません。
自宅をリースバックすれば、売却益を得ながら、同じ家に住み続けることができますし、事務所や店舗を売却すれば、業務も続けられます。また、リースバックをしていることは、外部からはわからないのもメリットです。
廃業にあたっては、事務所・店舗・自宅などをリースバックすることで、今までどおりの営業や生活を続けながら、売却益で廃業の準備ができます。売却益次第では、そのお金で事業を立て直し、廃業を免れることができるかもしれません。
資金がなく、廃業の可能性を考えているという人は、ひとつの選択肢としてリースバックという仕組みについて知っておいてもいいでしょう。
リースバックはサービス内容の比較が重要
リースバックを利用するときは、複数のリースバック会社に相談しましょう。会社によって条件やサービス内容に違いあるため、1社とだけ相談していると、期待するリースバックが利用できないかもしれません。
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