不動産担保ローンは、不動産を担保にして融資を受けることができるという金融商品です。利用するためには、審査に通過しなくてはなりません。
今回は、不動産担保ローンの審査基準について解説します。審査の基準や審査に通過しやすい人の特徴など、みていきましょう。
不動産担保ローンの審査基準は?
不動産担保ローンを借り入れる際には、どのような審査が行なわれるのでしょうか。まずは審査の基準をみていきます。
不動産担保ローン審査の流れと審査期間
申し込みから融資までは、以下のような流れで進みます。
- 仮申込
- 仮審査
- 本申込
- 本審査
- 契約
- 融資実行(借入)
不動産担保ローンの審査期間は、金融機関によって違います。3日で済むところもあれば3週間以上かかるところもあるようです。
一般的には、仮審査が即日から2、3日、本審査が1~3週間程度かかるといいます。
審査の準備
審査を受けるためには、金融機関への申し込みをしなくてはなりません。申し込むには、以下のような書類が必要です。
本人に関するもの
- 本人確認書類
- 印鑑証明、実印
- 収入証明書
- 納税証明書
不動産に関するもの
- 登記簿謄本
- 固定資産税の納付書
- 住宅ローンの残高証明書
本人確認書類は、運転免許証やマイナンバーカードが一般的です。
登記の情報は管轄の法務局、ローンの情報は借り入れ金融機関に依頼することで発行することができます。
審査基準・見られるポイント
仮審査では書類での審査、本審査では情報照会や現地調査が伴う審査が行なわれるのが一般的です。
審査で見られるのは、与信情報と、不動産の担保価値です。
与信情報とは、申し込みをした人の情報です。以下のような項目から、金融機関は貸付に問題がないかを確認します。
- 年齢
- 年収
- 勤続年数
- 他社からの借り入れや返済履歴
一般的な融資と同じように、健康面のリスクが小さいほうが審査に有利です。また、安定した収入基盤があることや、他からの借り入れがないことも審査では重要視されることが多いです。
担保不動産の正確な評価を行う際は、現地での査定が行なわれます。
土地の評価
土地の場合は、公示されている地価を参考にして計算されます。一般的には国税庁が出している「路線価」をもとにして算出されることが多いです。
建物の評価
建物の場合は、土地と違い経年によって劣化することを考慮して審査が行なわれます。
金融機関によっては対応エリアを限定していることがあるため、物件所在地によっては、この時点で断られるかもしれません。
さらに、資金の使途を見られることもあります。ただ、不動産担保ローンの場合は用途を限定せずに借り入れられるケースが多いです。
不動産担保ローンの審査は甘いのか
融資可能額は、担保にする不動産の価値によって大きく変わります。
不動産担保ローンは比較的借入しやすい融資商品です。収入や与信情報がそれほど思わしくなくても、価値の高い不動産を担保にすることで高額のローンを組めることがあります。そういう意味では審査が甘いといえるかもしれません。
しかし、不動産に担保としての価値がなければ借入は厳しいでしょう。
また、住宅ローンやリフォームローンで、対象物件をすでに担保に供している場合は、融資を受けられない可能性もあります。審査を通ったとしても、あまり多くの融資は受けられないかもしれません。
不動産を使った資金調達なら、借金ではない「リースバック」がおすすめです。
審査前に押さえておきたい不動産担保ローンの評判
不動産担保ローンは、「貸付額が多い」「金利が低い」 などと言われることが多いです。
実際、評判の通りなのでしょうか。
1件あたりの貸付残高は2,400万円
信用情報機関CICによると、2021年1月の不動産担保ローン貸出残高平均は、1件あたり2,400万円です。これに対し、住宅ローンは約700万円です。
比較すると、「不動産担保ローンは多額の融資を受けられる」という評判は本当のようです。
ただし、一般ローンや住宅ローンなどによってお金を借りている個人は1,000万人いますが、そのうち不動産担保ローンによってお金を借りている人は3万件と、0.3%程度です。
不動産担保ローンは一件あたりの貸出金額が多いものの、利用者数自体は多くありません。
住宅ローン並みの金利
不動産担保ローンの金利は、住宅ローン並みであるといわれます。1%以下であるケースもあり、3%前後がボリュームゾーンといったところでしょう。
比較的金利の高いノンバンクでも、10%未満で借りられるところが多いです。
一般ローンは法定金利である15%を上限としているところがほとんどなので、比較すると「金利が低い」という評判も、その通りであるといえます。
評判の良い不動産担保ローンとは
不動産担保ローンのランキングや口コミを参考することもできますが、次のような条件を比較してみることもおすすめです。
- 金利
- 融資実行までの期間
どこで借りるかであったり、どのような物件であるであったり、条件によって金利は大きく変わります。いくつかの会社に相談し、比較をしてみると良いでしょう。
また、いつまでにお金が必要なのかというのもポイントです。前述したように、一般的に銀行は審査に時間がかかる代わりに金利が低く、ノンバンクはスピーディーである反面、金利が高い傾向にあります。このバランスを比較することも大切です。
なお、不動産を利用した資金調達は、不動産担保ローン以外にもあります。そのため、条件を比較する際には他の資金調達方法も合わせて検討しておきたいところです。
融資以外で資金調達ができる「リースバック」
不動産を利用してまとまったお金を手に入れるなら、リースバックも選択肢のひとつです。
お金を借りない金融
リースバックとは自宅を売却し、家賃を払って住み続けることをいいます。住宅だけではなく事務所などさまざまな種類の不動産や機械設備などで利用されている取引です。
売却先は不動産会社や個人の不動産投資家、ファンド(投資を請け負う専門家)などです。
利用場面としては、生活資金の他、事業資金や介護費用など、まとまったお金が必要な場合や相続に備えて財産を現金化しておきたい場合などがあります。
また、住宅ローンを支払えなくなったとき、同じ家に住み続けるために活用されることも少なくありません。
リースバックのメリット
リースバックのメリットは即金性です。
提供する不動産会社によっては、最短3日程度で現金が手に入ることもあります。お金を借りているわけではないので金利はかかりません。
また、賃貸になることによって修繕費や固定資産税などの負担がなくなることもメリットです。
注意点として、賃貸借契約の期間を確認しておく必要があります。リースバックではあらかじめ一定の契約期間を定めておく定期借家契約が用いられることがよくあるからです。
一生住み続けるつもりの場合や買い戻しを予定している場合は、自由に更新可能な(または期間の定めがない)普通借家契約を結ぶと良いでしょう。
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