自宅などを担保にお金を借りるという「不動産担保ローン」ですが、住宅ローン返済中の家でも担保にすることはできるのでしょうか。
今回は、お金のプロが不動産担保ローン利用の条件や、利用できないときなどにおすすめの資金調達方法を紹介します。
住宅ローンがあっても不動産担保ローンの借入は可能
先に結論をいうと、住宅ローンの残高があっても、不動産担保ローンの利用は可能です。
しかし、誰しもが借りられるわけではなく、金融機関ごとの利用条件を満たしていれば、の話です。
では、借入できる人とできない人には、どのような違いがあるのでしょうか。金融機関を選ぶコツも踏まえて説明していきます。
第二抵当を認めていない金融機関はNG
利用できるかどうか判断するうえで、最も重要なポイントは「抵当権」です。抵当権とは、不動産を担保に入れるときに金融機関が設定するもので、返済が滞った際、担保に入れた不動産を売却・現金化してお金を回収する権利を指します。
抵当権は、1つの不動産に対して複数の設定が可能です。設定した順に第一抵当、第二抵当と番号が振られ、順位が早いほど優先されます。
住宅ローンの残高がある方というのは、既に第一抵当が設定されている状態です。そのため、不動産担保ローンは、第二抵当として借りるのが一般的です。
金融機関によっては、第一抵当だけを融資対象にしているところがあります。その場合は利用できません。また、第二抵当を認めている金融機関でも、全ての人が借りられるとは限りません。
どんな人なら借入ができるのか、もう少し詳しくみていきましょう。
住宅ローン残高が少ない人ほど有利
住宅ローン残高が、担保不動産の価値よりも少なければ、借入しやすい傾向にあります。
3,000万円の価値がある不動産に、第一抵当が住宅ローン、第二抵当が不動産担保ローンの場合を想定して説明します。
仮に住宅ローン残高が3,000万円の場合は、以下のようになります。
これでは、第一抵当を行使した時点で資金が無くなり、不動産担保ローンの残高を回収できません。しかし住宅ローン残高が1,500万円なら、どうでしょうか。
住宅ローンを完済した後も資金が残り、不動産担保ローンにお金が充てられます。
金融機関は、第二抵当でもきちんとお金が回収できるよう、なるべく住宅ローン残高が少ない人を選ぶびます。頭金や繰り上げ返済などで残高が少ない方は、借りられる可能性が高いでしょう。
不動産価値を調べてみよう
住宅ローン残高があまり減っていなくとも、購入時より不動産の価値が上昇していれば、借入できる場合があります。
例えば、リーマンショックなど景気が悪い時期に購入した不動産は、景気の回復によって、購入当初よりも不動産価値が上昇している可能性があります。住宅ローンを余裕で完済できるほど、価値が上がっていた場合、不動産担保ローンの審査に有利です。
まずは不動産の担保価値を調べてみるとよいでしょう。
借金ではない資金調達の方法です
不動産担保ローンで住宅ローンの借り換えが可能
「住宅ローンの返済が苦しい、毎月の出費を抑えたい」
このように思っている方は、住宅ローンを不動産担保ローンで借り換えすることを検討してみましょう。借り換えのしくみや、不動産担保ローンの注意点について説明します。
住宅ローンの借り換えとは
借り換えは、不動産担保ローンで借りた資金で、現在返済している住宅ローンの残高を一括返済し、その後は不動産担保ローンのみ返済していく方法です。
住宅ローンに限らず、マイカーやカードローンなどの無担保ローンも借り換えでき、複数のローンを一本にまとめることで、資金管理が楽になります。
借主個人の返済能力や不動産の価値次第で、現在利用中のローンより低金利で借入できれば、毎月の出費や総返済額の軽減が可能です。
また、一般的に不動産担保ローンの使い道は自由なので、借り換え分のほかに資金を調達できたら、生活費やリフォーム代などに充てられます。
借り換えの手数料や保証料に注意
金融機関を選ぶ際は、金利だけではなく諸費用も合わせて確認しましょう。
一般的な不動産担保ローンは、手数料や保証料の負担があります。金利の低さに気を取られて確認を怠ると、思わぬ出費が発生してしまいます。
主な手数料には、以下のようなものがあります。
- 事務手数料
- 保証料
- 印紙税
- 抵当権に関する登記費用
- 火災保険料
なかでも、最も負担が大きいのは事務手数料です。金額は金融機関ごとに異なります。
融資金額×〇%のように利率で計算することもあれば、1件の融資につき10万円など一定のところもあります。利率で計算する場合の相場は2%前後で、もし借入金額が2,000万円、利率が2%の場合、事務手数料は40万円です。
保証料とは、保証会社に支払う費用です。最近は、連帯保証人を設定しない代わりに、保証会社の保証を義務付ける金融機関が増えています。
金融機関によっては、これらの手数料が金利に組み込まれているところや、事務手数料が高い代わりに保証料を0円にしていることがあります。もし事務手数料と保証料がどちらも高額だと感じたら、申込前に相場を確認すると良いでしょう。
延滞や滞納があると借り換えは厳しい
いくら不動産の価値が高く、住宅ローン残高が少ない場合でも、現在や過去の返済状況に問題があれば、借入できる可能性が一気に下がります。
複数回に渡る返済の遅れや、長期間返済を放置した覚えのある方は要注意です。今現在、それらが解消していても、個人信用情報に記録されているうちは、借入が厳しいでしょう。
個人信用情報とは、個人信用情報機関に登録されているデータで、金融機関がローン審査で使用しています。
人それぞれの借入状況が記載されており、複数の金融機関で借入しているなら、その情報を一括で把握できます。滞納した情報は約5年間保管されるため、その間は何度申込んでも審査に落ちやすい状態です。
持ち家があり資金が不足している場合はリースバックがおすすめです。まずは専門事業者に問い合わせてみましょう!
リースバックで住宅ローンを返済する方法とは
住宅ローン残高がある状態で資金調達する方法は、不動産担保ローンのほかに、リースバックがあります。
リースバックも不動産を活用してお金を用意するしくみで、住宅ローンの借り換えも可能です。ここでは、リースバックについてみていきましょう。
リースバックと不動産担保ローンの違い
最も大きな違いは、リースバックがローンではなく不動産取引であることです。リースバックならば、持ち家などの不動産を売却した後も、そのまま自宅に住み続けることができます。
家賃の支払いは発生しますが、売却代金を一括で受け取れて、慣れ親しんだ家で変わらない生活を送れます。
不動産担保ローンは上記で説明した通り、延滞や滞納の有無や第一抵当以外は利用不可など、厳しい条件や審査があることがデメリットです。
一方でリースバックは、基本的に不動産を保有している方ならどなたでも対象なので、不動産担保ローンの条件に合わなかった方でも、利用できる可能性が高いでしょう。
また、不動産担保ローンと比較して、リースバックは圧倒的に諸費用が安いこともメリットです。事務手数料を始め、敷金や更新料を無料にしている業者が多く、諸費用の高さで、ローンの利用をためらっていた方に最適です。
自宅の所有権が移転することで、固定資産税や修繕積立金、火災保険料の負担も無くなり、毎月の出費が安くなるかもしれません。
住宅ローンが残っていても利用可能
住宅ローン残高がある方でも、条件を満たせばリースバックを利用できます。
一般的な条件は、「住宅ローン残高よりも、不動産の価値が高いこと」です。例えば、住宅ローン残高が2,000万円の場合、不動産の売却価格が2,500万円なら利用できます。担保に入れるわけでは無いため、不動産担保ローンほど厳しい条件はありません。
リースバックの資金使途は基本的に自由で、住宅ローンの借り換えも可能です。不動産担保ローンで借り換えしても結局は債務が残り、利息の支払いが続きますが、リースバックの借り換えで完済すれば、ローン生活から解放されます。
周囲に気づかれない
リースバックは家を出ていく必要がないため、近所に自宅を売却したことを気づかれにくく、プライバシーを守れます。
自宅の所有権を失うことに抵抗があるかもしれませんが、リースバックは、契約次第で自宅を買い戻すことができます。契約時に特約などを交わしておけば、「自宅を手放す予定だったけれど、やっぱり子や孫に遺こしたい」などと、将来的に考えが変わっても対応できます。
不動産を担保に入れる住宅ローンや不動産担保ローンは、返済が困難になり抵当権が行使されると、自宅が競売にかけられ、他人のものになってしまいます。
自宅を失うリスクを減らし、今の生活を守りたい方は、リースバックを検討してみてはいかがでしょう。
提供会社によってサービスに違いがある
リースバックは提供する会社によって、条件やサービス内容に違いがあります。必ず複数のリースバック会社に問い合わせて、サービスの違いを比較しましょう。1社だけと相談しても、納得できるサービスを受けられないおそれがあります。
リースバック会社への問い合わせは「リースバック比較PRO」が便利です。自宅の情報や連絡先などを入力するだけで、複数のリースバック会社へ問い合わせができます。あとは各リースバック会社と相談して、自分に合ったサービスを提供する会社と契約するだけです。
リースバック比較PROで情報を入力するときは、土地や建物の面積を入力する必要があります。あらかじめ登記事項証明書(登記簿謄本)などの資料を用意しておくとスムーズです。
住んだまま自宅を売却できます!一括問い合わせでリースバック会社を比較しましょう!