厚生労働省の統計「介護給付費等実態調査の概況」によると、公的介護保険制度からの給付を受けている人は全国に約6,000万人いるとされています。
では、介護が必要になった人を、誰が介護しているのでしょうか。厚生労働省の別の調査(国民生活基礎調査の概況)では、多い順に「同居の配偶者」「同居の子」「同居の子の配偶者」となっており、全体の6割は同居の家族によるとされています。
今回は、同居の家族のうち、子による親の介護についてみていきます。
「親の介護」にどれくらいのお金が必要?
現在、親と同居している人にとっては、「いつか歳をとった親に介護が必要になるかもしれない」ということは、現実的な不安ではないでしょうか。とくに、「介護のためにどれくらいお金がかかるのか」という点は重要な問題です。
実際には、どのくらいの費用がかかるのでしょうか。
介護の費用に1,000万円以上かかることも
生命保険文化センターが行った調査「平成30年度 生命保険に関する全国実態調査」では、介護費用の平均は次のようになっています。
初期費用の平均 | 242 |
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月々の費用の平均 | 16.6 |
初期費用とは、介護が始まったときに要した、福祉用具の用意や住宅改修などの費用です。そして、その後、介護サービスの利用のため、月々の費用が発生します。
この介護生活がどれくらい続くのかというと、同調査では、平均54.5ヵ月(4年7ヵ月)という結果でした。
費用総額
概算で、これほどまでの費用が総額として必要になるのです。
介護の費用負担に備えておく必要がある
公的介護保険制度により、一般的な収入の人は、実際に要した介護費用のうち1割だけを自己負担すれば良いことになっています。また、それとは別に住宅改修などに20万円の給付を受けられます。しかし、それでもなお介護に1,000万円以上ものお金が必要になるかもしれないのです。
それでは、多額の介護費用が必要になったとき、どうやって調達すればいいのでしょうか。
まず考えられるのは、民間の介護保険です。
死亡保険や医療保険などと同様に、保険料を払い込んでおけば、介護が必要な状態になったときに一時金や年金形式で給付金を受け取ることができます。
しかし、ある程度以上の年齢から加入するとなると、払い込み保険料に対して受け取れる給付金額のコストパフォーマンスも特に優れているとはいえません。若い頃より加入している場合はまだしも、介護のリスクが目に見えるようになってきてから検討しているようでは、さほど有力な選択肢ではないでしょう。
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親と同居のケースで「生活保護」は役立つか?
介護については、公的介護保険を中心として、どうしても足りないぶんを自己負担するというのが基本でしょう。
しかし、足りないぶんも公的な助成や補助が受けられるのであれば、それに越したことはありません。そこで思い浮かぶのが「生活保護」です。
介護の費用負担に「生活保護」を活用
生活保護は、収入がないか非常に低く、自分の力だけでは十分に生活していけない人に、国からの給付があるという仕組みです。
一人で生活できず、介護のための費用が必要ならば、生活保護の対象になりそうに思えます。
ここで、生活保護制度の概要をおさえておきましょう。
収入がない、もしくは非常に少なくて生活に困る場合、地域の福祉事務所を通じて、生活保護の申請を行います。
貯蓄などの資産がある場合は、まずそれらを活用することが優先され、生活保護は受けられません。もちろん、自身が働ける状態にある人は働いて収入を得ることが求められます。
そうしたさまざまな手段を講じても、生活費が不足すると認められた場合、生活保護が支給されます。
地域ごとに定められた「最低生活費」に対して、現在の収入(公的年金などを含みます)を差し引いて、なお不足する額が国から支給されるのです。
生活保護を受けると「介護扶助」が給付される
生活保護によって、介護を受けることはできるでしょうか。
生活保護の給付は、食費や光熱費にあてるための「生活扶助」をはじめ、用途別に支給されます。
介護サービスを受ける場合は、「介護扶助」という形で、生活扶助とは別に給付を受けることができます。
生活保護適用水準にある収入の人は公的介護保険により、自己負担割合は1割で、9割は介護保険制度によって給付されます
しかし生活保護を受けている場合、自己負担すべき1割についても、生活保護の「介護扶助」が給付されます。つまり、自己負担なしで介護サービスが受けられます。
同居している場合、親だけが生活保護は受けられない?
つまり、生活保護を受けている人は、介護費用について心配する必要はありません。介護費用のために資金が底をつきそうだという場合も、最後の手段として生活保護があるというわけです。
しかし、だからといって、今、親の介護費用に不安を感じている人が「親に生活保護を受けてもらおう」と考えても、話はそう単純ではないのです。
生活保護はまさしく、「最後の手段」であり、他の方法では生活していけない場合のセーフティネットとして用意されているものです。
福祉事務所に生活保護を申請したときは、まず、以下のようなことができないのかを確かめるプロセスがあります。
- 資産の活用 (今ある資産を生活費にあてる)
- 能力の活用 (働いて収入を得られるならそうする)
- あらゆるものの活用 (公的年金や他の福祉制度などを優先的に受ける)
そして、このほかに扶養義務者の扶養(親族から援助が受けられる場合はそうする)が求められます。
同居の親の場合、子と同居している状況であれば、まず子に援助を受けることが優先であり、そうできないときに限ってしか生活保護の受給はできません。
子が別居であっても、扶養できないかどうかの照会があるのが普通ですし、まして同居であれば、親子の世帯を分離したとしても、親世帯だけが生活保護を受けるのはかなりハードルが高いでしょう。特別な事情がない限りは難しいと思われます。
また、住んでいる家が親の持ち家ということであれば、「資産の活用」の観点から、家を売却してお金に換えることが求められます。この点からも、生活保護の受給は難しいといえます。
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親と同居したまま資金を得る方法
親と同居したまま、同居の親の介護費用をどう捻出すればいいのかを、考えてきました。生活保護が使えない場合、どのようにして資金を得るのが良いのでしょうか。
福祉目的の公的融資や、不動産を活用
同居のまま生活保護の受給は難しいため、まずは、公的な福祉目的の資金調達を検討しましょう。
代表的なものとして「生活福祉資金貸付制度」があります。
地域の社会福祉協議会を通じて申し込める公的な融資制度で、借り入れという形ではありますが、低利または無利息で借りられるため、本当に困ったときには役立ちます。
また、親と同居している家が持ち家であるなら、その不動産という資産を活用する方法も考えられるでしょう。選択肢としては、
- 任意売却
- 不動産担保ローン
- リバースモーゲージ
- リースバック
などがあります。
それぞれ一長一短がありますが、同居を続けながら親の介護費用を調達するのなら、リースバックが有力な選択肢です。
住み続けながら住まいをお金を換えられる「リースバック」
リースバックとは、不動産を売却した後、買主との間に賃貸契約を結び、賃貸物件として住み続けるという方法です。
手元には売却益が入るため、まとまった資金調達ができる一方、売った家にそのまま住み続けられる利点があります。
親と同居しながら、介護費用が必要な場合、売却益から家賃と介護費用を出しつつ、暮らしは今までと変わりません。
リバースモーゲージの場合は親が亡くなった後、家を手放さなくてはなりませんので、その後の住まいを確保しなくてはなりません。また、不動産担保ローンやリバースモーゲージは借り入れですので、審査があり、金利負担もありますが、リースバックはそのようなことはありません。
今すでにある持ち家という資産を活用できるという点で、ハードルが低く、お金が手に入るまでの時間も短いのが特徴です。
多額の負担になるかもしれない介護費用に備えるためには、リースバックをはじめとした、さまざまなマネープランの情報とノウハウを仕入れておくことが大切です。
リースバックは複数社への相談が必要
登場してまだ新しいリースバックは、会社によって提供するサービスに違いがあります。期待するサービスを受けるには、複数のリースバック会社に相談することが大切です。1社だけと相談しても、自分に合ったサービスなのかどうか判断できません。必ず複数社と相談してください。
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