年金未納者は、どうやって老後の生活を送ればよいのでしょうか。
今回は、年金を支払ってこなかった人が老後どうなるのか、そして困窮した場合に対策はないのかみていきます。
年金未納者の老後資金
2019年の金融庁レポートで「老後資金2,000万円」が話題となりましたが、年金を払っていない場合、老後にどのような影響があるのでしょうか。
老後資金は2,000万円必要なのか
まず、先述の金融庁レポートは、高齢夫婦二人分の不足額です。実は、このレポートにはいくつか注意すべき点があります。
- 夫婦二人とも年金の未納期間がない上での不足額を想定している
- 夫は平均的な給与で40年間就労してきた厚生年金加入者
老後2,000万円は、公的年金をしっかり受給できる夫婦において不足する額として算出されています。
単身者の生活費
総務省の調査結果「高齢単身無職世帯の家計収支」によると、高齢単身無職世帯(60歳以上の単身無職世帯)の消費支出は平均で約13万9,739円です。
年金未納者の場合、単月で約14万円、老後20年間で一人あたり約3,360万円ものお金を用意しなくてはならない計算です。
ちなみに、高齢単身無職世帯(60歳以上の単身無職世帯)全体の実収入は、平均で毎月12万4,710円です。税金等を差し引くと、約11万円です。単月3万円の赤字とすると、収入がある世帯であっても、単純計算で年間36万円、10年で約360万円、20年で約720万円不足することになります。
「ねんきん定期便」で年金額をチェック受給できる年金の額については「ねんきん定期便」等で確認してみましょう。誕生月に届く「ねんきん定期便」には、受給見込み額が記載されています。
老後の就労
60歳を過ぎた高齢者の就業は、年々増えています。
内閣府の「平成29年版高齢社会白書」によると、男性の場合、高齢就業者の割合は以下のようになっています。
年齢(歳) | 割合(%) |
---|---|
55~59 | 90.3 |
60~64 | 77.1 |
65~69 | 53.0 |
年金をもらえる見込みがなければ、これから継続的に就労して年金額を増やすなどしなくてはなりません。働き方次第では国民年金と厚生年金に同時加入(2号被保険者)することもできるので、そのために老後も就労を続けているという人が一定数いるようです。
国民年金の「免除」制度と「追納」
申請者本人や配偶者の所得が、一定基準以下であったり、失業や天災などにあったことが確認できる場合は、審査により保険料納付の「免除」や「猶予」を受けられることがあります。免除の認定を受けた期間については、過去10年間分であればさかのぼって保険料を追納することが可能です。申請に基づいて日本年金機構で審査が行われるので、該当する場合は年金事務所に相談するとよいでしょう。
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老後に年金を納める「任意加入制度」
年金のない老後を過ごさないための方法の一つに、「任意加入」という制度があります。
任意加入制度の特徴と利用条件
任意加入は、国民年金の受給者資格期間を満たしていない場合でも、60歳から65歳までの5年間に保険料を追加納付することができる制度です。
任意加入で5年間(60か月)保険料を納めた場合、欠けていた年金額を補うことができ、1年あたりの年金の増加額は9万7,713円(令和2年度の保険料月額より算出)となります。生涯、この増額状態で支給されるのです。
制度の利用には以下のような条件があります。
- 老齢基礎年金の受給資格期間である10年に満たない人
- 老齢基礎年金の満額受給(480月)に満たない人
- 老齢基礎年金を繰り上げ受給していない人
- 厚生年金保険や共済組合などに加入していない人
先述した「追納」は過去10年分までしか納付できませんが、任意加入であれば、10年以上経過した後でも年金保険料を納付することが可能です。
特例高齢任意加入
任意加入制度には、さらに「特例高齢任意加入」という制度もあります。
国民年金の加入義務期間は60歳までであり、その後、任意加入制度で60歳から65歳までの間に延長して加入できますが、特例により、さらに延長して加入することも認められています。
昭和40年4月1日以前に生まれた人で、満65歳の時点において老齢基礎年金の受給資格を満たしていない場合は、70歳までの期間に任意加入することができるのです。
任意加入制度の注意点
任意加入制度では、任意加入中は保険料の免除などの申請を行うことはできないという点に注意しましょう。
また、納付した保険料は確定申告の社会保険料控除の対象となりますが、口座振替で納付した場合は、口座名義人で控除手続きをするため、家族名で確定申告する予定がある場合は振替口座の名義に注意しましょう。
ちなみに、納付方法には「納付書」「クレジットカード」も利用できる場合があります。
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年金を払っていない場合の老後生活
老後に不安がない、という人はかなり限られるのではないでしょうか。自身の老後生活のために対策を考えていきましょう。
定年退職金が充分ある場合
もし定年退職金がある場合は、老後の生活設計も立てやすいかもしれません。平成30年就労条件総合調査の概況によると、勤続20年以上かつ45歳以上の定年退職者の平均退職給付額は以下の通りです。
平均退職給付額(万円) | |
---|---|
大学卒(管理・事務・技術職) | 1,983 |
高校卒(管理・事務・技術職) | 1,618 |
高校卒(現業職) | 1,159 |
この数字は勤続20年以上の場合です。転職などにより勤務年数が短い場合は、より少ない金額であることが想定されます。近年は、正社員であっても退職金支給額が減少傾向にあります。非正規雇用であれば、なおさらということになるでしょう。
高齢になってから働き続けても、現役世代のようなボーナスは得られないケースが多いため、退職金のようなまとまった資金があれば老後生活の柱となるはずです。
年金払ってない人が老後に生活保護を受けるには
退職金もない、とても生活できない、という場合に思い浮かぶのが生活保護でしょう。
生活保護は、誰もが社会的な保障を受ける権利として持っています。しかし、利用には当然条件があります。
- 困窮の程度
- 労働する体力や能力の有無
- その他の制度を利用できないか
- 身内からの援助を受けられないか
これらの条件にどれほど当てはまるのか、申請後に審査が行われます。
- 持ち家がある場合の生活保護は
- 賃貸暮らしの場合は住宅扶助を受ける対象となりますが、持ち家がある場合、基本的には生活保護の対象にはなりません。売却により一定の利益が得られる可能性があるからです。
例として、行政側が不動産の価値を2,000万円以上と判断すると、まずは家の売却をアドバイスされます。(不動産保有の考え方|厚生労働省)
また、家のローンが残っている場合、生活保護費を返済に充てられる可能性があるため受給が認められないケースもあります。
持ち家があるなら「リースバック」で老後資金に
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